マガジンのカバー画像

詩集 月光読書 弍

47
何気なく思いついた詩を書いていきます。最初の月光読書はノベルデイズにあります。https://novel.daysneo.com/author/lunagon/
運営しているクリエイター

#眠れない夜に

【詩】精霊が呼んでいる

──精霊が呼んでいる あの青々した木陰で あの澄んだ湖で ──精霊が呼んでいる 他の誰にも知られていない名前で呼ぶ わたしはここに居る 確かにわたしはここに存在する ──精霊が呼んでいる 虜になった踊る子供たちは どこまでもどこまでも 飛んでいく 空を目掛けて飛んでいく ──精霊が呼んでいる 無口になった鳥よ 肩に乗って 囀ることを忘れないで 戻ってくること何時だって待っている ──精霊が呼んでいる 暗い洞窟で カンテラ持って歩く老人は

【詩】色褪せてく通り道

「  愛してるって言わないで とても哀しくなるもの   」 庭に埋めたあの木蓮の木が咲く頃には 一緒に居られるかわからない 遠すぎたね私たち 一緒に笑った日々が 今は懐かしい 貴方あまりにも歩くスピードが早すぎて 私たまにツンのめった あの通りに あの町の角に並ぶ私たち どこか不釣り合いに見えたでしょうね 貴方は太い黒縁の伊達眼鏡かけて おどけて見せた 私はでも苦笑いしただけだった いつかそんな思い出までも遠い未来には 楽しく語れる時が来るのかな 貴方と歩んだ人

【詩】どうしようもなく螺旋の渦

これは静止した世界で起こる 何時でも側にいてくれる人なんていない あなたがどうなんて言葉は出てこない 孤独で 孤独で 孤独で でも孤独で死んでしまう事もない 只生きてるだけの屍になる 空中に浮かぶ霧のようになり 誰かの息になるなんてことはない それが世界中でいちばんの孤独だなんて いったい誰がわかるだろう すぐに見渡してみて 周りにある堤防が決壊しそうで 怖くなる 唇から出る黒いものは何? それは澱のようなもの 孤独という名の澱のようなもの

【詩】落下する夕焼けの中で

怒りに対する防御が悲しみなのか とめどなく流れる涙でさえ 許してはもらえない 相手を刺すような物言い 廃屋になった魂の行き場 黄昏時のあなた 泉を模倣した雫 微かな遠吠え 誘惑の懺悔 黄昏時のあなた 渾身の一撃 忌々しい怪奇現象のような されど行き着く先は奈落 遠回りの路地 朝焼けが目に沁みる 黄昏時のあなた 憂鬱な蕁麻疹 それぞれが全て意味のあるように 存在する景色の中 心は磨耗する さあ勇気を出して生きろと 逝ってしまいそうな結実が 叶いそうにない努力が 捕まえよう

【詩】健気な涙

雫が溢れる頬拭いて 波間に映る影見つめた 貴方あの笑顔 ずるいその横顔が 切なくて いつか握ってくれた 優しい手 大きな 今は宇宙の彼方で 待つ約束もなく

【詩】海の中聴こえる

君の声 聴こえる 微かに たしかに 聴こえる 小さく 小さく 途切れそうで 哀しみに 満ちた声 手を握って 引っ張り出そうと 海の中 荒れ狂う世界で たったひとり 生きている 君の声 聴こえる わかっているよ 気づいているよ 必ず 助け出すよ 待っていて

【詩】寂しい時に聴こえてくる音楽は切なくて

寂しい時に聴こえてくる音楽は切なくて 愛を問いかけ 愛を知り 愛によって裏切られる 世界は荒廃するばかりなのか 気分次第で 人を許せず そして許し 君たちは前に進む そんな中救ってくれるのは どんな救世主なんだい 寂しい時に抱きしめてくれる手もない 悲しい時に一緒に泣いてくれる人もいない 孤独の中生きる 新しい出会いを信じて生きる それがいまの世界 順序よく並ぶ行進が テレビに映ってる それを見て腹正だしく感じるのは 病んでいるからだろうか 蝿が頭の上を飛んで

【詩】夢

夢みたいなこと 何時迄も考えて 子供の時間は終わったんだよ 大人になった君は僕にそう言った ランドセルに詰め込んだ たくさんの思い出たちは 宝箱にしまわれて出てこない そろそろ先に進もうか だってこのままじゃあ 辛いだけでしょう? 君は沢山の常識を鎧にして生きている とてもじゃないけど壊せそうにないな 夢なんて言葉で終わりにすることのできない自分が 空回りして体が宙を浮きそうになる 愛だけじゃ食べていけないって 聞いたようなセリフを吐いて 追いやってしまうのを許した

【詩】冷たい君の涙

冷たい君の涙 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 凍てついた心が確かな言葉を信じるよ そっと触れて あの優しい月みたいに ああ 過ぎ去っていく青春よ ああ 無口な影よ 貴方となら どこにでも行けると信じた過去よ どうかこの愛を受け入れて 涼しい顔の猫のような そんな顔をしないで 報われるなら 何処にでも行けると信じたあの日々よ 帰ってきて 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの あの丘に登ってみても 答が出ないんだ それは永久に出ないのか 教えて欲しい

【詩】昼間、友人と語る

諦めもせずにやっていることが 誰かのためになるなら いったん時間を止めて そしてまた歩き出したらいい 空に散りゆく雲が 明日もあさってもあればいいと思うなら 少し早歩きになるのもいい 君はそうして いつも明るく 楽しく過ごして欲しい 友人と語らって日々のパンを食べて…… 僕はその日暮らしの しがない物書きで いつもあくせくいってるわけもなく 暇人じゃないような暇人で その辺を闊歩しているのさ そして君に出逢うとこういう 「やあ、お日柄もよくなんてな」

【詩】孤独、それから時々雨

マガジン(「つぶやき」は入らないので)詩集 月光読書に入れるため同じものを作成しました。

【詩】紡ぐ命よ仮の音の

紡ぐ命よ 仮の音の 魂の震えが耳に届く時 小雨があたるように感じるのはなぜか 髪の毛に湿気た空気蓄えながら 足下で右往左往するアリンコたちを 一つ二つと数えてた あの冬君はまだ子供なのに 逞しかった 夕暮れになると やってくるピーヒャラリーが おかしくて いつまでも笑って転がって いつの間にか眠っていた 紡ぐ命よ 仮の音の 君よ永遠の少年でいてほしいと 想っていたのです 君よ永遠にと── 紡ぐ命よ 仮の音の 儚さの哀れを知る日々でした