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詩集 月光読書 弍

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何気なく思いついた詩を書いていきます。最初の月光読書はノベルデイズにあります。https://novel.daysneo.com/author/lunagon/
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2023年10月の記事一覧

【詩】暗闇の門

空っぽなコップに水 空虚な頭上はどこへ彷徨うのか 障壁のある世の中なんて捨てちまえ 独りで溺れていればいい 様々な叡智と引き換えに 全てを飲み込んだら澱だった 苦渋を避けて小さな穴から入る 夢見心地の偽りの世界 ディクテイト ディクテイト  ディクテイト sora ni Hakobe 彼方よ 死に絶えた流氷のごとく 聳える山脈が 我に呼び覚ます祈りとなる 永遠の時に潜む幽霊よ 朧な魂よ 流氷に隠れる稚魚たちよ 綾吹きの家屋へと誘う立東の姿を認めよ それは浄化し人の門に続

【歌詞】荒野の真ん中で歌う

冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 君の頂きに指で触れて 凍える夜 爪を噛む癖はやめて 夢を聞いてもいい そんな言葉 無視し続けた 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの そんなこと言える立場じゃないこと わかってる わかってる

【詩】どうしようもなく刹那に

冷たい涙がこぼれ落ちて 君を想う気持ちが強くなる 明日会えるかと楽しみで でも不安になるのはどうしてかな 秋の花が咲いている 冬の花は何処へ行けば見れるのかな 君の笑顔も同じように いつまでも同じように同じ場所で 見れるかわからない 僕より先に逝ってしまわないよう 大切にするから ずっとずっとそばにいてほしい 花のように生きる君だから 花のように散ってしまうのが怖いんだ 不安な夜に想うこと⋯⋯

【詩】恋は盲目

あなたがくれた贈り物 大切に使っているよと言ったら 恥ずかしそうに笑った 私は心の中で どうかこのまま変わらずに そう願っていた いつも歩いた鉄橋に日が暮れる 散歩がてら歩いたこの場所で 気持ちを何度も確かめ合う 「大好きだよ」って あなたが美しいと思ったものは 全てが美しくなるんだよ あなたが醜いと言ったものは 全てが醜く映るんだよ 私は自分の不甲斐なさに 時々心痛める それでも大好きなあなたが いつまでも変わらず 私を愛してくれること 信じて今日も生きる

【詩】優しさ

優しさって何? 空々しい思いやりの塊 優しさって何? 皮一つ下の顔 いつか死ぬのに 必要がないなんて 自分一人で思ってるの? 優しさって何? 心の隅の忘れ物 いつか死ぬのに 忘れたいのに 忘れられないもの はち切れそうな忘れもの

【詩】ストロベリージャム

秋の気配が増して青空は白くなってきた 私にできることってなんだろうと思った いつしか雨やどりをしている気分になって 惨めにもなる こうもり傘が街を通る時 どきりと心臓がなる お父さんを思い出す もう今はいないけれど お父さんは優しい人だった 私の初恋はたぶんお父さんだ ファザコンだと近所の同級生が言ってきた時 お母さんに 『お父さんは疲れてるんだから』と言われた時 それでも甘えることはやめなかった 誰にでも平等で勇気のある人で憧れだった 私にできることってなんだろう

【詩】雑踏の音に心沁みる

美しみ映る風に 心木霊する 烏色 眩暈の色 雲流れ響く世界に 想い無き言葉 仮の音の命 だが紡ぐ命 物憂げな視線 世の中の 騒雑な世界 命の灯火を慈しむ 哀れなり 現よ幻よ

【散文詩】大天使ウリエルの独白

それは、旅の道なかば、気まぐれに降り立った白く瞬く地でのことだった。 深く藍色の夜空に三日月が浮かび、ほのかな灯しが純白の砂丘の上を綺羅綺羅と輝いていた。 冷麗な彼女に、すっかり時を忘れ見惚れていると、背後から生暖かい風がふうと私の頬をかすめ、次に真横をまたふうと何かがかすめていった。咄嗟に振り返ると、遠くに、どんよりとした雲か霧のにじんだ点が、次第にゆっくり形をとってふくらみ、そのうちに、一頭の立派な馬と、馬にまたがった一人の青年の姿となった。 この目は見張ればどこまで

【詩】ありがとうを君に

【詩】ありがとうを君に 一緒に歩いた並木道 数えた自販機のジュース 転げ回った公園 追いかけっこの森 どれもこれもいつかの君と共に 築いてきた奇跡だった こんな奴でごめんと謝った木陰で 君は泣いていたね いつか いつの日か 君を一番大事にしてくれる男が 現れたらどうしようと 僕は怖かった 明日の権利はないよ 君を独り占めする権利は 僕はもうすぐ旅立つ このベッドの上から上空へ 君を連れて行きたいけど それはできないね だから最後に言うよ ありがとう 今まで長い