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うつしおみ 第60話 暗闇と光
魂は暗く冷たい土の中で眠っていたが、
ある日暖かい光を感じて目を覚ました。
その光の方へと手を伸ばしていくと、
暗闇から光の世界へと抜け出ることができた。
さらに上には眩しいほどの青が広がっていて、
その勢いで空へも手を伸ばしてみた。
魂は光を浴びるほどに瑞々しい生命を感じ、
地上は薄緑色のその手で覆われていった。
世界では小鳥たちが楽しげにさえずり、
それに合わせて魂はそよ風と笑いながら踊った。
だが、時とともに魂の生命は瑞々しさを失い、
ついに力尽きて乾いた土の上にその身を横たえた。
空の光は輝きを失って灰色になり、
すべての音が止んで世界は沈黙に支配された。
魂は土の中に沈んで深い眠りに落ちる。
そしてその時が来ればまた目覚めて光へと手を伸ばすのだ。
そう何度も眠りと目覚めを繰り返す魂は、
いつまでも自分が誰なのか知らないままだ。
魂が自分が誰かを知ったとき、
暗闇も光もただ自らの目の中に宿るものだと気づくのだ。
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