うつしおみ 第23話 想いの場所
世界では何事も思い通りにならず、
いたずらに蒼き時だけが悠々と過ぎ去っていく。
あるとき、空から降る光のように想いがひらめいて、
魂は思わずそれを捕まえようと手を伸ばす。
想いはすぐに世界の影に滑り込んで見えなくなったが、
魂はその場所を見つけて、必死にそれを探し始める。
世界には色とりどりの落ち葉が厚く積もっていて、
なかなかその想いを見つけることができない。
時の木は魂の目を美しい落ち葉でさえぎり、
何も見つけられないようにそれを巧妙に隠している。
魂は何かが与えられたと感じたのだが、
それが何だか分からないもどかしさに落陽を見つめる。
それを探したいと思うことさえ確かではなく、
あの想いさえ、霞んでいく記憶に抗うことができない。
時だけがそこで何も語らずに流れていくが、
行き着く場所を指し示すものが魂には見つからないのだ。
そんな時を無視していても、
カサカサと笑う落ち葉を虚ろに眺めながら枯れていく。
想いは自らの心の奥底から起こり、
そこにたどり着くことが、自分のできるすべてだと知るまで。
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