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うつしおみ 第47話 魂の色彩

魂はこの極彩色の世界で好きな色を見つけ、
それを心ゆくまで楽しみ満たされていた。

そうして好きな色を見つけて味わえることが、
この世界の美しさの所以なのだと思った。

その景色は万華鏡のように移り変わっていくが、
魂はそんな移ろう儚さも愛していた。

世界で満ち足りている魂が、
他に求めるべきものがあるという思いに届くことはなかった。

美しい世界を生きて、
美しい自分の色になっていれば、それで十分幸せだったのだ。

だが、魂がすべての色を取り揃えて着飾っても、
何かの色が足りないと思いはじめる。

魂は足りない色を求めて世界を探し回り、
そこにいくつかの新しい色を付け足した。

それは新しい色ではあったが、
いままでの色が混ざっただけのことだと気づいた。

そんな魂が本当に手に入れたいのは、
すべての色の出処であり、つまり色彩の光源だ。

魂がその光源を手に入れたとき、
極彩色は消え去り、すべての色を放つ中心になるのだ。

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