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うつしおみ 第44話 真実の扉
魂は焼けた大地に座り込み、
血と泥にまみれて震えている手のひらを見る。
この世界でどう頑張って生きても、
傷つけ合う渦へと巻き込まれてしまう。
安寧の地を望んで旅しても、
辿り着く先はいつも殺気立つ新たな戦場なのだ。
わけも分からずに戦いに明け暮れ、
終わったあとには重く苦い疲労だけが残る。
生き残った喜びもなく、敗れた悲しみもなく、
ただ虚しさを支えて息をする。
こうして生きていくことを受け入れるのか、
それともこの世界に目をつぶるのか。
何が正しく何が間違いなのかの答えはなく、
自分が誰かさえも分かっていない。
自分が誰かを知らない、
それがこの世界に飲み込まれた魂の開けるべき扉になる。
その扉はどの魂にも宿っているが、
それが救いになると気づいていない。
それは世界から離脱する扉であり、
魂はその先で世界を包み込む真実になるのだ。
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