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うつしおみ 第7話 太陽と空と時

太陽は柔らかい光となって、
世界中に慈しみを降り注ぐ。

空は癒やしの風となって、
世界中の悲しみに触れていく。

時は今が過去の幻になるよう、
世界をさいはてへと運んでいく。

私には太陽の光が眩しすぎて、
それを避け夜道を歩いた。

私には空が青すぎて、
風に居留守を使い岩穴に閉じこもった。

私には時が早すぎて、
目を閉じて立ち止まり、ゆっくりと息をした。

それでも世界は私と一緒に、
賑やかに華やかに回転していく。

いつの間にか私は、光とワルツを踊り、
風とバラードを歌い、時と杯を重ねる。

私が世界から去って眠りにつくとき、
太陽も空も時も一緒に消えていく。

世界は暗闇と静寂に沈んで、
そこで私がまた目覚めるのを待つのだ。

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