うつしおみ 第45話 未来の記憶
暗黒の夜に生まれた魂には、
すでに遥か未来の記憶が宿っている。
その記憶は魂の奥深くにある核心として、
太陽のように輝きを放っている。
その白き輝きが絶えることはなく、
魂が終わるまで暗黒の夜を照らし続ける。
魂は自らがそんな太陽だということを知らず、
きらびやかな世界に目を凝らす。
そこで光に煌めく欠片を見つけると、
喜び勇んでそれをその手に握りしめる。
握った手にはそんな光の粒でいっぱいになり、
それを見て魂は心満たされる。
魂が終わるとき、その握った手は解かれ、
光の粒は暗黒の夜空に散っていく。
それを見て魂は悲しみに打ちひしがれ、
失意のうちに深い眠りへとつく。
それでも魂の核心は太陽のごとく輝き、
それを知らない魂は幾度も過去の夜を彷徨う。
いつか魂は自らが太陽だということに気づき、
そのとき未来の記憶へと重なるのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?