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うつしおみ 第51話 藪中の神殿

魂はその人生をかけて世界中の道を歩んでいたが、
未だに知らない道に出会う。

魂が歩んでいたその道は唐突に途切れ、
その先は鬱蒼とした藪に覆われていた。

そこに道はないと誰もがそこから引き返していたが、
その魂には僅かながら細い隙間が見えた。

藪を覆う草木を切り払い土砂を取り除くと、
そこに美しい石畳の古い道が現れた。

それがどこまで続いているのか興味があり、
さらに奥まで行ってみることにした。

ただ、藪を切り払いながらの歩みは楽でなく、
そうすることに意味があるのか自問することもあった。

その道の奥に立派な神殿を見つけ、
長い間、誰にも知られずにあったことが不思議に思えた。

さらに神殿の周りの藪を切り払うと、
道だと思っていたそこは広大な境内だと分かった。

誰も礼拝に行かなくなった神殿は藪の中に埋もれ、
やがてその存在自体が忘れ去られてしまったのだろう。

この神殿は誰の心の中にもあり、
道を覆う藪を切り開いていった魂だけが目にできるものなのだ。

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