見出し画像

うつしおみ 第25話 古の記憶

悠久の時を擁する空の漆黒に、
小さな魂たちは儚げに瞬く。

その魂たちは、流れる夜空の下で、
果てしない銀河を旅する夢を見ている。

だが、夜明けの空が白く染まれば、
そんな夢は色あせた記憶の幻になるのだ。

夢の中では我が存在に触れることができず、
魂は幾度となく空の漆黒に落ちて消える。

小さな魂など、誕生した瞬間に、
はかなくも消滅する運命を抱えているのだ。

そこに誕生しても何が出来るわけでもなく、
その身体が砂と砕けて夜空に散るのを待つだけ。

それでも、その小さき魂は、
決して忘れることのできない古の記憶を持っている。

自ら夢を打ち破ると、その記憶の扉が開き、
魂はこの空の支配から解放される。

その魂は果てしない漆黒の空を飛び越えて、
我が存在の光とひとつになる。

銀河の夢から覚めた魂は、
その光であった記憶を取り戻し、そこに蘇るのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?