うつしおみ 第43話　幻想と真実

魂は美しい景色を見て心を揺さぶられるが、
景色の本質を知らない。

賢者の物語を聞いて琴線に触れるが、
物語の本質を知らない。

世界からの贈り物に喜んで感動するが、
贈り物の本質を知らない。

その本質が何かということに興味がなく、
それを知ろうともしない。

魂は色彩豊かな幻想を受け取り、
そこに宿る透明な真実が見えていないのだ。

幻想はいつか色褪せて消えてしまうが、
真実が消え去ることはない。

魂は大切なものを失ったと感じて悲しむが、
そこから何も失ってはいない。

魂の本質が真実であり、
その魂が触れるものすべてが真実なのだ。

姿かたちに意味を見出している限り、
その真実は幻想のように思える。

魂が自らの本質を悟るとき、
あらゆるものに真実を見出すだろう。