うつしおみ 第12話 古の瞑想者
時空間を見渡せば、
真実に目覚めていない人などひとりもいない。
夜空に輝く星のように、
すべての人がそれに目覚めている。
古の時代にひとりの瞑想者が目覚めた瞬間、
それはすべてに起こったのだ。
ただ、それを誰もが知るには、
あまりにも時空が離れ過ぎてしまった。
この世界に流れる時間と広漠な場所とが、
目覚めの波及を遅らせる。
その時空間が瞬間の抵抗となり、
人々はまだ真夜中の眠りに沈んでいる。
それでも、その古の瞑想者は、
すでにすべてが目覚めたと知っている。
なぜならこの世界の根底には、
たったひとりしかいないからだ。
そのひとりが目覚めたということは、
すべてが目覚めたということ。
いま眠りの中にある誰もが、
その真実に目覚めるのを待っているのだ。
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