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こんな夢をみた 2

宇宙へ行ってみた

私は暖簾をくぐり、あるお店から出てきた。
外は真っ暗な夜で、雨が降って上がったばかりなのか、路面が街灯を写してエナメルのように光っていた。店を出て何処かへ帰るべく進行方向へと体ごと向いた途端、20メートルほど先の路上に、こちらへ向かってくる二輪車が見えた。二輪車はおそらくバイクで、乗っている人の頭が異様なほどに大きかった。ほとんど影のようでよく見えないが、頭がひし形に大きく張り出した逆三角形に近い形の人物が二輪車でこちらへ向かってくる。最初フラフラしているように見えたが、一瞬でスピードを上げ、すごい勢いで迫ってきた。私は避ける間もなく、呆気にとられているうちに二輪車と衝突した。と思ったが、ブワっと風が吹き抜けるように冷たい突風と共に、大きな頭の人影が操る二輪車に飲み込まれた。それは私の体を通り抜け、あっと言う間に去っていった。通り抜けざま大きな頭についていた目が三日月型に笑ったようだ。そして、耳には「死ぬよ」という言葉が響いた。

私は気を取り直し、前を向くと、今度は前方の十字路から自動車が左折してきた。私は「死ぬよ」という予言めいた言葉が気がかりで、あの自動車を何としても避けなければと思い、何故か逃げるのではなく、こちらへとゆっくり走ってくる自動車に向かい思い切り走り出した。私の足はものすごい脚力を示し、すぐに車の目の前に到達し、ポンと地面を蹴ってボンネットをひと蹴り、難なく車を飛び越えて地面に着地した。

難を逃れたと思い安心し、速度を落としゆっくりとランニングを続けていると、先ほど飛び越えた車が高速バックで迫ってきて、今度こそ私はあっさりと轢かれてしまった。轢かれるというよりはクルンと巻き込まれた形で、私は自動車の下敷きになり、体がペラペラになってしまった。ペラペラになった体は紙のように軽く、車が通りすぎたその衝撃で空へと舞い上がった。舞い上がった体の飛翔は止まらず、どんどん上昇して、街の灯は小さくなり、雲を抜け、やがて地球の形が見えるような場所まで到達した。しばらく呆然と漂っていると、地球の端が一筋青く光り始めた。太陽があちらの方から現れてくるのだろう。私の体はすでに紙のようにペラペラでもなく、すっかり消失してしまったようだ。意識は明瞭。ああこれが、リアルだな、真実のリアルだ、と感じて私は目を閉じた。

これは明晰夢で、ここで夢から覚めることにした。


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