【資金調達対談】なぜ、ZVCはソラジマに出資したのか?ーーZ Venture Capital株式会社 内丸拓
「誰もがバカにする、でっかい夢を叶えてみせるーー。」をミッションに掲げるソラジマ。今回、ソラジマではシリーズBで約10億円の資金調達を実施した。
スタートアップ冬の時代、WEBTOON市場では異例の「10億円」という資金調達を可能にしたソラジマ。ソラジマに投資した投資家3名との対談を公開する。
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投資家から見たエンタメスタートアップ
爆速で成長し続けるソラジマ。
今回は、資金調達を受けて、ソラジマ共同代表のひとりである萩原が、ソラジマに投資してくださったZ Venture Capital株式会社でインベストメントマネジャーを務める内丸拓様と「投資先としてのソラジマ、Webtoon市場の可能性」についてお話させていただきました。
萩原:こんにちは!株式会社ソラジマの萩原です。
今日はですねZVC(Z Venture Capital株式会社)から内丸さんにお越しいただきました。今日はよろしくお願いします.
内丸:よろしくお願いします。
萩原:僕から簡単に内丸さんやZVCさんの紹介させていただきます。
今回のシリーズBラウンドのリードを内丸さんが取っていただきました。さらに、今回のひとつ前のシリーズのラウンドでもZVCさんから出資いただいて、今回2回目の、リードでの出資という形で、客観的に見ればもうめちゃくちゃ応援していただいてるのかなと思っています。本当にありがとうございます。
僕、当時のこと今でも覚えてるんですけど、入社されたのが…
内丸:2022年5月ですね、
萩原:2022年5月で、6月ぐらいに「(ZVCの)担当変わります」と聞いて、ちょうどそのファイナンスをしてたタイミングだったので、「それはびっくりだな」と、急いで連絡して、「飲み行きましょう」と。
そこでかなり会社の紹介をして、こういう風に成長していきたいんですって話をして、それで、じゃあ分かりました、と、ちょっと本格検討します、という風に言っていただいたっていうのが最初の出会いですね。
内丸:そうですね。前の担当が紹介すると言ったにもかかわらず、待ちきれずに、「内丸さん、萩原です!」「ご飯行きましょう!」「飲みに行きましょう!」「仲良くなりましょう!」と連絡が来たので、ものすごい前のめりっていうのがまず第一印象ですね。
やはり勢いというか、起業家としてのパワーというのをおふたりともから感じて、これは、ぜひご支援させていただきたいな、というのは、率直に思ったところですね。
ソラジマに投資する理由
萩原:前回のラウンドも出していただいて、今回もリードだったと思うのですが、今回のファイナンスにおいては難しかったポイントとか、逆に…どういう評価だったんだろうなって聞きたいなと思います。
内丸:今回でいうと、評価はものすごく高かったです。
特に我々で言うと、LINEマンガにも出していただいてると思うんですけど、そこの方にも当然ヒアリングをして、高い評価を得てるっていう所が、やはり大きな意思決定のポイントの一つだったかなと思ってます。
一方で難しかったところもフェアにお話をすると、コンテンツを作り出す会社はやはり継続的に作り出し続けるとか、ホームランを出すとかいうことはなかなか価額しづらいところなので、そこのリスクっていうのは、やはり話としてはあったんですけれども、まああの総じて実績を出してるところとかも踏まえて意思決定自体させていただいた形ですね、はい。
萩原:エンタメのスタートアップに出すってそんなには多くないと思うんですけど…
内丸:はい、そうですね。
萩原:それって、どういう理由、今言った理由なんですか? やっぱりその継続性というところと、メガヒットを出すというところの価額が難しいというところですか。
内丸:そうですね、やはり、瞬間的なヒット、toCのサービスとか、SNSのサービスがよく見られると思うんですけど、瞬間的にパッと盛り上がって、それこそ1日でもう一気にユーザーが抜けていったり、とか、それが半年なのか1年なのかわかんないんですけどやはり継続するとやっぱり難しいんですよね。なのでこれって本当に持続性のあるものなんだっけっていうところを頑張って判断しようとしてるんですけど。
萩原:投資家の胆力も結構必要になってくる…
内丸:そうですね。
でも究極はですね、やっぱりこう起業家としては、仮に何かがあったとしてもそこの胆力、気合いで何かを巻き戻してくれるだろうというところの期待値はありますよね。
外から見たソラジマの強み・弱み
萩原:何から話そうかなと思って考えたんですけど、ざっくり言えば、ソラジマの魅力が伝わればいいなと思います。
あとは内丸さんから見たら強みと弱みみたいなところで、話しやすいところから話していければなと思うんですけど…
内丸:そうですね。まず強みについて、いくつかあるんですけど、特に押し出したいっていうところで言うとですね、大きくふたつかなと思います。
ひとつ目が、やはりソラジマカルチャーです。
私もですね、社員のメンバーと何人かお話しさせていただいて、多分その時何回も強調してお伝えしたと思うんですけど、ものすごく優秀な人たちが集まってるね、と。
それはある意味、採用力があるという話なのかもしれないんですけど、裏を返せばこのやっぱりこのカルチャーがしっかり浸透していて、ソラジマとはこれなんだ!だからこれに向けてまっすぐ行こうぜ!っていう勢いがしっかり組織文化として根付いてるっていうのが圧倒的な強みかなと思うのがひとつ。
もうひとつはオペレーション能力かなと思ってます。オペレーション能力がしっかりこう会社の中に組み込まれている。
ご存知の方も多いと思うんですけど、Webtoonを作るのって結構難しかったりするんですよね。しっかり利益の出る形で作るのって難しいと思うんですけど、それをしっかり確実にもう今実現できてるっていうのがなによりの証拠でありますし、やはり他の出版社というか、プラッフォームの方々とヒアリングさせていただいたんですけども、そこでソラジマの出してくる提案っていうのはやはりクオリティが高いと。
それは別に誰かが辞めてそのノウハウを持っていけるわけではなくて、組織に根付いたオペレーションだということを言ってたので、ソラジマならではの強みかと思います。
他にもいろいろありますけど一番強調したいのはそのふたつかなと思いますね。
萩原:そこのふたつは僕らも意識してこの2年ぐらい積み上げてきたものなので、客観的に見てそういう風に言っていただけるのは、嬉しいなと思いました。
ビジネスとしてのWebtoonの魅力
萩原:Webtoon領域の魅力って、何かあったりするんですか。
内丸:もう魅力だらけだとは思いますけれども。
特に、日本人はもうマンガ文化がすごく根付いてるので、今更(横読みが主流なのに)縦読みで流行るのかしら、というのは皆さん思ってると思うんですけれども、もうこれは確実に来るとは思ってます。
「縦読みの流行はバブル、一過性のものなんじゃないか」という人も中にはいるんですけど、私はそうではないと思っていて、やはり皆さんが使っているスマートフォンに特化された形の漫画は必ず来ると。それで、それっていうのはWebtoonの形だよね、というところなので、これは間違いなく伸びる。
これは日本国内に限らずグローバルでも全く同じ話ですので、グローバルで流行る形っていうのがWebtoonだと思ってるので、もう、無限の可能性があるというところで、魅力しかないかなと思ってますね。
萩原:Webtoonは王道が出てくる全盛期が、ここから10年20年かけて作られてくると思うとすごく楽しみだなと思います。
内丸:そうですよね。
やはり「ONE PIECE」「呪術廻戦」「鬼滅の刃」といった、横読みマンガとしてヒットしたものって、Webtoonの形で本当に出るのかと思ってる人もいるかもしれないですけど、やっぱりこの海外の、(Webtoon発祥と言われる)韓国のスタジオですね、出してるメガヒットを見たら「全然出ますよ」というのが正直なところだと思います。
萩原:そうですよね。
逆にもう率直に弱みというか、次のステージ行くにはここが課題だよねみたいなものは何かありますか。
内丸:そうですね、全然弱みだと思ってないんですけど、一言で言うと改善の余地はいくらでもあるというところですね。
勢いは今あるけれども、今後、どんどん組織が大きくなるにつれてそこの中核になる人がまだまだ足りないというところでしょうか。当然今もいるんですけど、足りてない。
あともう1個ビジネスモデル的なことで言うと、やはりホームランをどうやって打つかっていうのが大きなところかなと。
今もヒットは当てているんですけどホームランがまだまだこう…
萩原:いや本当にそうですね。
そうなった時にやっぱり僕の課題感の意識としては、作るだけじゃホームランは出ないなと思っています。そこをホームランをその編集者とかクリエイターの皆さんがホームランを打てるような、そのバッターボックスをいかに経営含めビジネス側が作っていけるかっていうところは大事かなと思ってますね。
これまでのソラジマって、言ってしまえばクリエイティブスタジオじゃないですけど、しっかりと面白いものを作れるっていうところのコアな部分はすごくしっかりできてきたなと思ってるんです。
でも、やっぱり僕らが目指すのは、もう少しでかいというか、グローバルで活躍できるエンタメカンパニー、スタジオをカンパニーにしていくんだと思うと、やっぱり作る人以外のポジションが大事だなと思っていて、それはそのクリエイティブ領域のマネジメント層もそうですし、そうじゃないビジネス領域のところもやっぱ必要だなと思ってます。
ソラジマが求める人材
萩原:僕が管轄でこれまで見てたっていうのもありますけど、やっぱCFO(Chief Financial Officers、最高財務責任者)みたいなところのポジションの人っていうのは、ぜひご一緒したいなと思ってる所はありますね。
もう1回未上場でファイナンスして、しっかり大きな勝負をしていって、さらに上場後もまた大きく集めてグロースしていくっていうのをやりたいなと思っているので、そうなってくると、やっぱりもう創業者ができる限界を超え始めているなという気がするんです。なので、そういう人に来てほしいなっていうのが、そういう人と話したいなっていうのは1つ大きくありますね。
内丸:他は何かあります?
萩原:あとはやっぱ最近で言うとアプリですね。
アプリのビジネスっていうのも、スタジオでできた作品を自分たちで売っていくっていうためにWebtoonアプリも作ってるので、そのアプリをしっかりグロースさせていける人っていうのもやっぱり採用していきたいです。あと、ビジネス職というわけではないですけど、やっぱりどこまで行ってもスタジオが命の会社ではあるので、いかにその編集者とかクリエイターさんたちが創作に熱中できる環境を整えるかという意味で、採用チームもそうですし、僕は組織開発って呼んだりしてるんですけど、とにかくカルチャーを作っていく、さっき言及もいただきましたけど、カルチャーこそ僕らの強みなんだって、このカルチャーをや強くしていく人っていうのはやっぱり必要だなと思ってたりしますね。
内丸:なるほど、なるほど。
萩原:あとはそういうラウンドが進んでいくといわゆる企業としての管理体系というのも大事になってくるので、そっちのそういう管理部みたいなところも必要かなと思ってます。
内丸:要はオールポジション(笑)
萩原:要はオールポジションですよね、もう来ていただければ何かしらのオファーは出せるみたいな感じかなと思ってますね。
アプリが持つ可能性
内丸:あの、せっかく今アプリの話があったので、アプリの可能性についてもう少し。
萩原:今まさに議論してて、もうそのこの動画が公開されてる時にどうなってるかわかんないぐらい議論してるんですけど、今のところ国内でやるかっていう選択肢も、アメリカでやるかって選択肢もある中で、アメリカで勝負してみようじゃないかって話は結構していて。
もちろん資金が限られているので、そこは調整しながらやっていくんですけども、その中でひとつ、韓国のRIDIっていう僕らがベンチマークにしている会社があって。彼らに訪問したこともあったんですけど、もうやっぱりすごいなと思ったのは、彼らは未上場でユニコーン(創業からの年数が浅いながら、企業価値評価額が10億ドルを超える未上場企業)になってる大きな会社なんですけど、ソウルに本社があって、ソウルのメンバーで基本的にアメリカのアプリを運営していってると。
開発チームがあって、マーケットチームがあってっていう中で、ソウルに居ながらアメリカ市場で攻めていってユニコーン作ってるって、エンタメ領域じゃないとできない戦い方だな、と思っていて、それを同じようなことを僕らも東京からやっていけるっていうのはすごい夢があるなと思って。
内丸:そうですね。
アプリの重要さってどこらへんに感じておられるんですか。
萩原:例えばWebtoonと紙のマンガを比較した時に、やっぱりマンガの爆発力って単行本がめちゃくちゃ売れることかな、と思っています。
そうなった時に、仮に僕らがスタジオでヒットするような作品を作ったとしても、販売を既存のプラットフォームに依存しちゃってると、変な話僕らよりもちょっと面白い作品がアプリに入ってきたら、ヒットの可能性のあったこの作品があんまり売られないということが起こりうるわけです。
自分たちで販路となるアプリを持っていると、作品にしっかり読んでもらえるポテンシャルがありさえすれば、自分たちがコントロールして作品を売っていくことができる。先ほど話したマンガの単行本の爆発力に近いものを、自分たちでもコントロールできるようになるっていうのは、事業を拡大していく上で大事だなと思っていて。
内丸:そうですね。
萩原:そこ、「作る」というところと、「売る」っていうところを、両方自分たちでコントロールしていきたいっていうのが、アプリをやるメリットですね。
「ホームラン作品」を放つために
内丸:あとなんかこのWebtoonの可能性とかで言うと、そのIP(Intellectual Property、実体のない知的財産のこと)の二次展開とかそういったこともありますよね。
萩原:そうですね。
実は2022年はそこまでチャレンジできてなかったんですけど、2023年は意識的にそこはチャレンジしていて、来年50作品やろうということになっているんですけど、そのうちの8作品というのはまさにその将来IPになるかもしれないような作品をしっかりチャレンジしてこうね、っていうのも結構やっています。
2021年2022年でかなりこう頑張って成果を出してくれた編集者とか、クリエイターさんたちがまた同じチームになって、富士打線って呼んでるんですけども、富士を作っていくぜ、みたいな。
内丸:どこから来たんですか、その「富士」は。
萩原:「富士」はですね、もともと僕らのその作品のヒット判定で、松竹梅でやってて、その松の上を作ろうみたいな時に松の上には何が、みたいので、みんなで大喜利して、富士になりました。
ちょうどこれ、目指す売り上げとしては、月の売り上げで3776万を目指そうというので、「富士」として置いてるという感じでやったりしてるっていうのがありますね。
内丸:まず、ホームランを打つのが今年っていうことですよね。
萩原:そこ(月の売上3776万)がツーベースヒット、ホームランは本当にもう、(月の売上が)何億みたいな感じで、これはちなみに「日の出」って呼んでいるんですけど、日の出作品みたいな感じでやってるんですけど、そういうのを出そうみたいな感じでやっています。
それも普通のというか、一般的な作り方と、ホームランを出すための作り方ってやっぱりちょっと違うよね、っていうのが、今、社内の感覚ではあるので、それを作る作り方を分けて、ポートフォリオ組んで、っていうのもやったりしてるんで。
ユニコーン元年
内丸:まさになんか、今からがユニコーン企業を目指すスタートの年に近い。去年までがスタート地点をつかむまでを頑張って作ったような形ですね。
萩原:そうですね。
事業計画を引いていても、結局もう2023年度でホームランが出るかどうかが全てという感じです。出なければ2024年度もそれでチャレンジするし、2025年度もってなるし。
もちろんホームランが出なければ、資金がずっとあるわけじゃないので、また次の資金を集めなきゃいけないっていう、それを続けられるかっていう闘いなので。
シビアに考えると意外と本当にこの1年で勝負が決まると。逆にいうと勝負できる環境を整えていただいたっていうのはめっちゃありがたいなと思って、もうほんと大振りするだけかな、と。
内丸:本当にもう思いっきり振っていただいて。
ZVCが最初に初回投資した時も売上0だし、Webtoonを公開したぐらいのタイミングで入金したんですかね、なので本当にいけるのかどうか全くわからない中で投資をして。それで、1年後今回投資、追加投資させてもらったんですけれども、ものすごく伸びて、「あっ、ここまで行くんだ」みたいな。
そこからしばらく、私が投資委員会通した後から数ヶ月経ってますけれども、さらに伸びてますもんね。だから多分来年は全く違う会社におそらくなってるだろうなってこのスピード感、これはまさにスタートアップっていうのと、あとこのWebtoonっていう市場のダイナミックさ、その2点かなとは思っています。
萩原:そうですね。
いろいろ紆余曲折あって今Webtoonにいる中で、僕と前田の感触的には、めちゃくちゃ今までと比べれば、めちゃくちゃいいところで仕事ができているなと思ってるので、もちろん市場の成長が一番のその変数だと思うのでそこはコントロールできないですけど、なんか頑張りたいなと思ってます。
内丸:ものすごく期待してますし、はい、支援させていただきたいと思ってますんで。
萩原:よろしくお願いします。
▼ソラジマ共同代表 Twitter
DMもお待ちしています✉
・前田儒郎:https://twitter.com/juro_maeda
・萩原鼓十郎:https://twitter.com/KJR_HAGI
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