見出し画像

空色のつどいってなんですか?

はじめまして。ライターのアサギです。今回は、代表の成瀬さんに、当事者会についてインタビューさせていただきました。読者の皆さまにとっても「空色のつどい」を知るきっかけになれば幸いです。

まずは「空色」を設立したきっかけについておしえてください。

空色は、2018年の夏に「空色のつどい」という当事者会を設立したことからはじまった小さな当事者団体です。当時、わたし自身がはじめて障害福祉のピアスタッフとして従事したものの、職場内にはピアについて相談できるおなじ立場のスタッフがおらず、一般的な就労相談では「ピアならではの悩み」について、なかなかわかっていただけないもどかしさを抱えていました。

そのため、身近でピアスタッフをしていた知人や、ピアを志している友人とともに、茶話会という形で相談・吐き出しの場をつくったのがきっかけです。

運営メンバー4名で2年半ほど定期的な当事者会をひらきました。その後はコロナ禍やそれぞれの生活の変化もあり、一旦は個人活動となりましたが、2023年に新たな仲間に恵まれ団体活動を再開することができました。数年のあいだに活動する範囲が広くなったので、当事者会だけではなく、現在は任意団体「空色」として統合したうえで活動しています。

「空色のつどい」にはどのような方がいらっしゃるんですか?

老若男女、さまざまな立場の方がきてくれます。精神保健福祉士などの資格をもちながらピアスタッフとして従事している方、ピアサポーターとして活動している方、ピアという活動に興味をもっている方、福祉について学んでいる学生さんなど。施設のピアスタッフと利用者さんがペアになってきてくださることもあり、お互いのきもちをフラットな立場で打ち明けあうこともありました。

現在は、少人数制で顔の見知った関係で開催することがおおいですが、紹介で遊びにきてくださる方もいます。お互いの意見を「ぶつける」ではなく「知りあう」ことを目的とした、わかちあいの場をつくっています。

空色にとっての「ピア」の基準はどのように設定していますか?

ピアについてはあまり明確に基準を定めないようにしています。現在、日本の制度上では各自治体が定める「ピアサポーター」の資格や研修が存在しますが、空色では所属先や、就労の有無、障害や病名の種別に制限を設けていません。いろいろな段階の方がいて、どのような経験でも、それを活かして活動したいと志す方々にとってのよりどころになればと思っています。

一方で、もともとはピアスタッフの仕事や活動での困りごとをわかちあいたいという想いで設立したこともあり、長い目では支援的(または相互支援的)な考えができる場として機能できるように運営しています。「ピアによるピアのためのピアについての勉強会」を展開していくため、ときには現行制度について語り合うこともあります。

当事者会ではどのような取り組みをしていますか?

おもに「テーマトーク」「わたしの処方箋」「傾聴・相談ワーク」の3つのワークを軸にして、フリートークや映画鑑賞会などのイベントを開催しています。


テーマトーク」では、各々が感じたことや考えていることを共有し、それぞれの議題についてみんなで話し合います。たとえば、「支援の現場でどのように必要とされるか」「境界線をまもる方法」「わたしにとってのリカバリーとは」「話す場をもつことの必要性」「地域包括ケアシステムのあり方」などです。難しいことではなく、身近に存在するちょっとのひっかかりをひろいあげ、それぞれの言葉で語り、葛藤の時間をもっていただくことを大切にしています。


わたしの処方箋」は 「わたし」だからこそ出せるサポートをみつけだして処方するという空色独自のワークです。この3つを発表しあい、いまのわたしがだれかに差しだせる「てだすけ」や「知恵」を付箋にかいて送りあいます。

・達成したいと掲げている目標
・いま取り組んでいる進捗状況
・その障壁になっていること

参加者の声をきいていると、サポーターになってから支援が受けづらくなって孤立したり、気力・体力を使いすぎたりしてしまうことがわかりました。ワークを通じて、自己開示の練習をして、だれかに寄り添う時間をとり、そして処方した本人も同時に誰かからのサポートを受け取ってもらうことを目的としています。


傾聴・相談ワーク」は支援者と支援対象者が入り混じっているときに行うことがあります。これまで看護学生さんにもよく参加していただきました。ふだん誰かに悩みを打ち明ける機会がすくない方や、仕事柄、聴く側が多い方には新鮮なようです。

ふたり1組になっていただき、傾聴ワークでは10分間「聴きっぱなし・話しっぱなし」その後、5分間で感じたことを相手にフィードバックします。相談ワークの場合は、この5分間はアドバイスを行ってもよいことになっています。どちらも相手を尊重したうえでの話の「しかた・聴きかた」を体験するワークです。

「空色のつどい」に参加するにはどうしたらいいですか?

DMやメールアドレスにて問い合わせをいただければ成瀬よりお知らせします。対面でおこなう「空色のつどい」は名古屋市内で月に1度開催しています。不規則なため、予定は都度ご案内するようにしています。

今後は遠方にお住まいの方や、日中の都合がつかない方向けに、オンラインでの気軽な茶話会「空色Bar」も開催予定です。「空色」自体がちいさな団体ですので、数名でのゆっくりとした運営ですが、暖かく見守っていただければとおもいます。

今回は、空色のつどいについて詳しく知ることができました。加えて質問してみたいことや気になることなどがあればコメント欄などをつかっていただければ、今後のトピックとしてとりあげさせていただくこともあります。ぜひ「ピア談義」のきっかけのひとつとして使っていただければとおもいます。

ライター アサギ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?