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総理の夫・タナカー的視点〜大人の男のかわいらしさ

この作品を初めて観た時、ああこれはみんなが大好きな田中圭くんだなぁ…😳!ってすぐに思った。 

相馬日和くんは、圧が強く自立した女性たちの間で振り回され、政界という未知の世界にまで巻き込まれて右往左往する人物。

こう書くと、
「ああ、なんか騒がしい感じの役なんでしょ😑?」
と思われるかもしれないけど、この映画の特筆すべき点は、その「巻き込まれ感」に、オーバーリアクションな感じがないということ。


本人が、自分が持ってる技術を全部封印して演じたみたいなことを言っていたけど、それがよくわかる。
でもそれはむしろ、彼にとって新しい挑戦の一つだったのではないだろうか?

とにかくどの人物も結構キャラが立ってるので、田中圭くん自身はあまり強いキャラクターのカラーを出さず「巻き込まれ型」人物として、ひたすら皆さんのお芝居を受けて感情で応える、いわば後方支援モードに入ってる。

おそらくは春田創一以降、こういう巻き込まれ型キャラクターのような立ち位置を求められる事も少なくなかったのではと思うけど、これ本来なら完全に脇役モードだし、主演として演じるならば、より目立つように割とオーバーリアクションが求められてしまう事が多いように思うんですよね。

でも今回は受ける芝居に徹しているし、作品に流れる空気も相手役の方たちも皆さん上品だし、なにより日和くん自身がお坊ちゃん育ちで温和なので、あくまでも穏やかに驚き、喜び、優しく凛子を応援しつづけている。

でも別に大げさに騒がずとも、彼本来の力を持ってすればこういう人物もちゃんと描き出せるって事をちゃんと証明しているし、なによりこの受ける芝居こそが、彼が持つ最大の武器であり技術なのだということがとてもよく伝わってくる。

さらに今回、おそらく引き算の芝居をしたおかげで、日和くんには彼が演じた人物ほぼ全員が持っている「屈折した影」みたいなものがまるで感じられない。

あのピュアと称される春田でさえ持っている、偏見とか嫉妬心みたいなものさえない。

それが結果的に日和くんの好感度を上げているし、それこそがまさに劇中での「ひよりん」人気につながるわけだ。
良く出来てるな〜!

幸せにする、ではなくて、一緒に幸せになる自信がある。
一見頼りなく聞こえるこんな言葉でさえ、日和くんが言うとむしろ素敵だと思わせてくれるのは、彼自身が持つ優しさ(子どもや鳥たちに向けるまなざしは本当に暖かい)に加えて、自分の情けない部分からも目をそらさないまっすぐな日和くんの生き方を、彼がちゃんと伝えてくれているからだ。

そしてこういう自然な優しさや暖かさが結果的に、大人の男性のかわいらしさ、とか、いじらしさ、みたいなものを演出しているのだと思う。
それは恐らく、意図的にやってできるものではないのではないかな。

イヤミもクセもなく、自分の世界をちゃんと持っていて、大切な人を素直に応援できる日和くん。
お母さんに「まさか嫁が総理になるなんて」と言われた時に、一瞬顔をほころばせて嬉しそうにする表情からも、彼の性格の良さが伝わってくる。

こういう男性は、自分の意思をきちんと持って精神的に自立している女性にとってまさに「理想の夫」だ。


…実は私、2回目までは、
日和くんのこの表情、どこかで観たことがあるよね?
これ、今まで演じたお人好し系の集大成なんじゃないの?
なんて、ちょっと冷めた目で見ていたのだ、本音を言うと。

でも3回目に観た時、自分がよく知ってる田中圭という俳優さんが演じているという事を忘れかけてきて、もう相馬日和くんにしか見えなくなってしまったら、いままでにその表情を観たことがあるかどうかとか、人気がでそうなキャラクターか…なんて事、どうでも良くなってしまったのだ。

私はたぶん、彼が「かわいい」といわれることにちょっとアレルギーがあったのだと思う。
別にあえて「かわいい」をえらんでるわけじゃないと思うのに、そこだけ強調されるのはなんだか違和感があるなぁってずっと思ってたから。

でも、この作品は観れば観る程、田中圭という俳優さんをとても大切にしてくれていると感じられるし、ひとつひとつのシーンを愛情持ってとても丁寧に撮ってくれているって事がよく伝わってくる。

ことさらにイロモノ的な部分を強調したりすることなく、彼の内側から湧き上がる自然な日和くんを撮ろうと思ってくれているのが手に取るように伝わってくるから、タナカーとしてはホントに嬉しくなってきて、素直に作品世界に身を委ねられるようになったのかもしれない。


そして何より、クライマックスの長台詞言ってる日和くん(というか圭くん)は本当に格好いい😆!

まぁ日和くん、ちょっとキャラ変わってますよ?って気もするけど、そこはほら、凛子に「ついていって」(「ついてきてね」の対義語)頼もしい夫になっていく、という表現でもあるからね。

なにより、分かる人にはわかると思うけど、このシーンでの発声とか熱量は舞台での彼に限りなく近くて(映像作品でここまで長台詞やらせてもらえるってことなかなかないですしね…)、その姿が大好きな私はここまでたどり着くと毎回
「ああ、この圭くんを映し出してくれてありがとう。観て良かった…」
としみじみ感じ入り、もう感情より先に体が反応するレベルで思わず涙ぐんでしまうのだ…。

だからこれは、
初めて田中圭の作品観るけどどれがいいと思う?
って聞かれたら、間違いなくお勧めしちゃう一品だ。

きっと彼に対する偏見を持ってる人が観ても、愛嬌たっぷりに彼が戸惑ったり困ったりする姿を親しみを込めて見ているうちに、日和くんの事も田中圭くんのことも、きっと大好きになってしまうだろう。

3年前の私のように。

こんな素敵な作品に主演させようと考えてくれて、作り手の皆さん本当にありがとう!!って幸せな気持ちにさせてくれる作品なのである。

ちなみに、mellowの時は監督さんから
「田中さん、品!(が無くならないよう気をつけて)」
って言われ続けた圭くんだけど、今回の日和くんはちゃんとお上品にできてますよね〜?

そして、この映画が完成した後に観たとき、後半思わず泣いてしまったと言っていた圭くんだけど、それは日和くんとして生きてた時の記憶のおかげで、凛子と同じ感情を共有できるようになったからだと思うんですよね。
でもその「感情の共有」こそが、「恋人」ではなく「夫婦」というものなんじゃないかな。
そこをちゃんと繊細に「感じ分けてくれる」彼の共感力は、やはり素晴らしいと思うのだ。

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