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もしも私が

「人生の番に会ったことある?」
なんとなく、父に聞いてみた。人生の番とは、人生を良い方向へ大きく変えてくれた恩人のことらしい。父は少し考えてから「あるよ、たくさん。」と答えた。そういえば、父は友達がたくさんいたなと思う。それはきっと、いろんな人とすぐに向き合える父の性格からなんだろうなと思った。そしてまず、誰かと向き合わないと人生の番には会えないだろう。
 「走れメロス」のメロスとセリヌンティウスのように、お互い秘密を持たないで、嘘をつかない中を誰かと勝ち取るのは難しい。だからこそ、アニメやドラマみたいに普通に生きるのはもっと難しい。今そばにいてくれる人は人生の番かもしれない。その人達は人を信じることはいいことだと私に教えてくれた。
 将来、私は何をしているだろうと考える。子どもの頃なりたいと思っていた職業は、大人になって実際になった人はごくわずかで、今の私の願いを、未来の私は受け取ってくれているのかもわからない。でも、今の私は前の自分を少しでも前に向かせてくれた人達みたいに、誰かの心を救ってみたい。出来れば、人生の番にもなってみたい。
きっとこの願いは欲張りなのかもしれない。でも、思うだけでも自分が一歩前に進めたような気がした。
 人生である乗り物は何度でも途中で降りたり乗ったりを繰り返し、行き先の切符さえも見失うことがある。それでも私は、また行き先を見つけようと切符をたくさん買い込んで、その乗り物に意地でも乗り込む。誰かがその乗り物から落ちそうになっていると、手を差し伸べてみようと思った。

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