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第24話 ふわりしあわせ

バーベキューも終え、撮影も一先ず区切りも着いたところで片付けをしているとナポリさんが
「女子はここええから、お風呂入ってきたらええよ〜」と言うてくれたのでお言葉に甘えてケイさんと敷地内にある入浴施設に向かった。

2人で温かい湯船に浸かりながら
「楽しかったねぇ〜。カヌー乗って、バーベキューして、こうやって露天風呂にも入れて…最高!ありがとう!秋ちゃん!」
大喜びのケイさんを見て私も嬉しくなった!
「よぉし!上がって飲み直しだぞー!!」
あー…やっぱり…。

お風呂から戻ると、ハウスには辻井さんだけが残っていた。
「おかえりなさい。他のもんは風呂行きました!お2人も戻られたんで俺もいいっスか?」

「どうぞー。秋ちゃん、さて飲み直そうか!辻井くん先にやってるよー」
上機嫌なケイさん。こりゃ、朝までか…。

「でもさ、石井さんに彼女いたんだぁ。まぁ、そうだよねぇ。モテるだろうしねぇ」
一瞬、ビールが吹き出しそうになったが必死で抑えて飲み込んだ。
「そ、そうでしょうね。モテるでしょうね…」

あんまり言うとツッコまれてボロが出そうになるから話題を変えようすると、そこにナイスなタイミングで石井くんが帰ってきた。
「あっ!石井さんおかえりなさーい!ビールでいいですか??」と上機嫌のケイさんからビールを受け取るとさり気なく私の横に座ってきた。
あーあーあー…横になんて座ってきたらドキドキするやないですかっ!お風呂上がりやから、ええ匂いもするし...っ酔い回りそう‥。
こりゃ、あかんな。ここから立ち去らなければっ…!

「あー、私ちょっと映像確認してこうかなぁ…」と立ち上がろうとすると、ちょうど2人の間に座っていた私の腕を2人は同時に掴み
「逃げるなぁっ」
「俺の事、待ってたんとちゃうんか?」
後ろにグッと引っ張り、元いた椅子に座り戻された。
楽しい程に酔うておられますね...辻井さん、ナポリさんはよ帰ってきてぇっ!!!


その夜は長く深夜まで続き、虚ろながらも掛けていたアラームで目が覚めた時は朝7時。どれだけ眠れていたのかも分からないが、朝日の眩しさと日差しの暖かさはまだアルコールが残っている体には痺れた...。横で眠っているケイさんを起こさないように静かに起きて外に出た。

眩しい太陽に向かってぐーっと腕も背中も伸ばし大きく背伸びをした。

「今日もええ天気やなぁ」

と呟いていると、後ろから覆い被さるように誰かが腕を回し抱きついてきた。
「わあっっ…あっ」びっくりしすぎて声も喉に引っかかるようになり、なかなか出ない。人間ホンマに驚いた時って声出んもんやよね…。
なんて思いながら回された腕を掴み、首を後ろを向くようにやると石井くんのドアップな顔があった。
その時になってやっと「ぎゃあっ」と声が出た。
その声に「俺はお化けか…」とため息混じりにまだ寝ぼけたような声で呟いた。

「だって‥っこんなとこ誰かに見られたらっ」
「んー...皆まだ寝てるやろう…」

そう言いつつ、私の頭に顔を埋めてきた。
石井くんもまだ寝てるよぉ!こりゃアカンって。
必死に石井くんの腕から脱出しようとするがなかなか抜けない。寝ぼけてるくせに意外と力あるなぁ、とか思てると私の後ろ首に軽くキスしてきた。

「うひゃっ!なにすんの?!」
「そんなビックリせんでも…」

いやいやいや、するでしょうよ!
今、顔見られたらヤバいって。早く離れなきゃ!
「わっわたっ、私っ水持ってきますっ」
そういうとやっと腕の力が抜けて私はそこから、するりと抜け出し逃げるようにして、石井くんから離れた。
心臓はドキドキバクバクして体も熱いっ
手に持ったペットボトルの水が沸騰するかもせん。

水を持ち石井くんの方に戻ると、ウッドデッキの上で太陽の日差しを浴びながら仰向けになり目を閉じていた。
私はその横に体育座りの様にして座った。
まだ他に誰も起きてくる気配もなく、雀の鳴き声と風が吹き葉っぱが擦れてカサカサと揺れる音だけが聞こえてきた。
こうやって2人でいる空間。幸せな空間。
何度か、まだ数える程度やけどデートはしたけど、こんな感じは初めてかもなぁ...。
空を見上げ、そのまま目線をゆっくり下に下ろし石井くんの方に向けるとまだ目は瞑ったまま。

「...だいすき」

自分でも驚いた。不意に呟いていた。
慌てて口を塞ぎ我に返り、目線を石井くんから逸らした。
声小さかったし石井くん寝てるから聞こえてないはず...っ。あーヤバかったぁ...。
そんなん考えて、冷静になる為に深呼吸を1つしたところで

「あき」
「あっごめん。起こしたね」

石井くんの顔を見ると、目はまだ閉じたままで腕をぐーっと上に伸ばし自分のお腹の上にのせた。
そのあとに、ゆっくりとした柔らかい口調で、さっきの私よりもまだ小さな声で一言呟いた。


「...秋、一緒に住もうか」







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