見出し画像

今日も、おはよう。

あの子が待ってるよ

私には小学1年生の息子がいる。
息子が入学して1週間も経った頃、ある男の子が通学路の途中で息子を待ってくれるようになった。
全然知らない子で、なぜか息子を好いてくれているらしい。
入学したてでモタモタしている息子のせいで迷惑をかけると思い、「先に行ってもいいよ。」と言ってもあの子は息子を待っている。

「僕が待ちたいんだ」

息子は自閉スペクトラム症で個別支援級に通学している。
朝の登校も、慣れない当初は「おうちに帰りたい」と癇癪を起こすこともよくあった。
そして通学路の途中で座り込んでしまうので、あの子に「先に行っておいで」と言ったこともある。
それでもあの子は待ってる。
どうしてそんなに待ってくれるの、と聞くと
「僕が、待ちたいんだ」と言う。
あまりにも純粋でまっすぐで、圧倒された。

約束なんてないけれど

もちろん、「毎朝一緒に行こう」と約束したわけではない。
けれどなんとなく毎日「ふたりで一緒に行く」というふんわりした空気が出来上がった。
あの子は家を出るのに少し時間がかかる。
たいてい息子が先に着くけれど、いつもの場所であの子を待つ。
どちらか一方がお休みしても「今日は一緒に行かれません」なんて連絡もしない。
ただ待って、来なかったらひとりで行く。
会えたら、一緒に行く。
ふんわり。
ただ、待ちたいから待ってる。

ともだちのはじまり

ああ、そうだった。
ともだちのはじまりってこんな風だった。
ともだちを待つこと、待っててくれるともだちがいることって、なんてうれしいことだろう。
新しく広がった息子の小さな世界を邪魔しないように、玄関からいってらっしゃいと見送る。
きっと今日もふたりでランドセルを揺らして仔犬みたいにじゃれながら歩いていくんだろうな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?