アメリカのとある田舎のコロナ禍の学校の様子 中編

6月下旬、当初の予定通り夏休みに入りました。3月半ば、学校のロッカーへ物を入れたまま休学になり校舎へ戻ること無く学年が終了しました。校舎内へは入れないので、学校が生徒たちのロッカーの荷物をゴミ袋にまとめ、密にならないように予約制でそれを学校に取りに行きました。子どもたちのロッカーを一つづつ開けて、大きなゴミ袋に入れて片付けてくださった校長先生、教頭先生の尽力には本当に胸が熱くなりました。お弁当箱が入ったランチボックスをうっかりロッカーに入れたままにしていた子もいたかもしれません。息子は整理整頓が苦手なので、ロッカーもぐちゃぐちゃだったと思います。

7月に入り、学校から9月から学校再開に向けて、変更点や取り組みなどの説明会のWebiner(ライブでのオンライン説明会)が開催され、その後、保護者へのアンケートなども数回に分けて行われました。

夏休みの前半、我が家の子どもたちは友達にもほとんど会っていませんでした。そんな中、時々子どもたちのお友達の親御さんから遊びに誘われるようになりました。アメリカではプールが庭にあるお宅もあります。調べたところ、プール内は消毒液を使っていることもあり、比較的安全のようだったので何度か遊びに行かせていただきました。

子供を送った際、親御さんと立ち話していると、今後の学校再開については、二手に分かれました。様々な理由で完全リモート学習を選択にするご家庭とハイブリッド派(週2日通学3日はオンライン学習)です。当初、私はやはり人と会うことで感染する可能性が高まるので完全リモートがいいかもと思っていましたが、いろいろな方の話を聞いて、やはり、子どもたちは学校で友だちに会えるほうが精神面に良いかもしれない、また、日本では学校を再開していたけれど、学校でのクラスターは出ていないようだったので、ハイブリッド学習を選びました。

もう一つの理由は、コロナとの共存の生活がこれからしばらく続くと思われたので、制限がある生活の中でもできる範囲で普通の生活に戻していくことが必要だと感じたからです。ステイホームから日常に戻るリハビリをしていったほうがいいと思ったのです。(今までどうりの日常にそっくりそのまま戻るかどうかは別として)

というのも、私自身が7月の時点で、あまりにも自宅で過ごすことが長くなってしまい、家の外にある公共のもの(例えば店のドアや、タッチパネル、ショッピングカート等)に触れることが苦痛に感じるようになりました。また、ずっと人に会っていなかったので、人と会えることは楽しいのですが、長時間だと疲れてしまったり食料品を買いに行くだけでもぐったりと疲れてしまうようになり、数ヶ月の日常が自分にもたらす影響について考えさせられ、私自身がリハビリが必要だと思っていました。

手洗いをこまめにする、マスクをする、距離を保つ等の基本的な予防をし田上で、公共の物に触ったりすることが怖い等となってしまわないように、学校だけは行ったほうが良いだろうと判断しました。

また、希望者は翌年1月の段階で、ハイブリッドから完全オンライン学習に切り替えができるということだったので、もし事情が変わって感染者が劇的に増えたり、校内でクラスターが多発した場合は、途中で変更することも視野に入れました。スクールバスも人数を制限し、席は指定ということで再開しましたが、我が家はバスではなく車で送り迎えすることにしました。

最終的に完全リモートかハイブリッドか選ぶ時は本当に悩みました。フェイスブックに私達の町の中学、高校、小学校のそれぞれ保護者のグループがあり、そこでもいろいろな疑問点や意見が出ていました。私も、どちらにするのか数人のママ友といろいろ意見交換をしました。

悩んでいたのは私だけでなく、アメリカ人の親御さんもぎりぎりまで悩まれていました。日本人のご家庭も完全リモート、ハイブリッドと別れていました。

唯一わかっているのは、前代未聞の選択を親である私達がしていて、どちらが正解なんてだれもわからないということでした。多くの保護者が悩み、お互いに決定締切日のぎりぎりまで悩みに悩んで、子供のために分かる範囲でリサーチし、ベストの選択をしていたことだけは肌で感じました。

夏の間は比較的感染者数は落ち着いていたので、子どもたちはテニスのレッスンを受けたり、海に友達とでかけたりしました。

例年8月の最終週から新学期が始まるのですが、今年はコロナ禍での学校の再開ということで、州の教育委員会で決められた様々なプロトコールを遵守、(6フィートの社会的距離確保、マスク着用(2層以上のもの))また先生方もオンライン、ハイブリッド学習のための準備などで、新学期が通常より2週間遅れの9月の中旬から始まりました。

学内ではランチの時間のカフェテリア以外にもジム(体育館)も使用され、テーブルの指定や、トイレが密にならないような工夫などをされているようでした。休憩時間で外に行く時間はマスクブレイクといって、マスクを外してもいい時間がありました。

高校生の息子はお天気の日は外でランチを食べているようでした。また新学期からすべての生徒の学校給食が無料で支給となりました。朝ごはんも無料で支給されています。

息子は今年から高校に上がったのですが、希望していないギターのクラスが割り当てられました。学校に問い合わせたところ、クラス内の人数の制限などで、やむを得ずこのような形になっているとのこと。結果的に、息子は学校では勉強ばかりでなくギターを楽しんでいたので、良かったのかもしれません。

子供達は3月以降、スポーツを中断していましたが、学校や町の野外のスポーツを再開しました。高校生の息子はマスク着用でクロスカントリー(森など自然の中を走る持久走のようなスポーツ)、中学の娘はサッカーです。サッカーの練習も試合もマスク着用、試合時は接触はだめ、またスローイングはなしでサイドラインからのキックに変わり、ルールが若干変更になっていました。試合時に見に来ることができる家族も、マスク着用、ソーシャルディスタンス、一家族2名等とプロトコールが敷かれました。

学校再開後、コロナの感染者が学校の職員や生徒から出た場合、一斉メールが送られてくることになりました。学校内でのクラスターはほとんどありませんが、それでもメールが送られてくるたびにドキドキしました。また、州の感染者数も秋になり感謝祭のホリデーシーズン後、徐々に増え始めてきました。

私自身も手洗い、社会的距離、マスクを徹底していたら感染しないだろうと思い、徐々に人とも会うようになってきたところ、味覚がおかしくなりました。コーヒーを飲んでも美味しいと思えないのです。体は元気でピンピンしていましたが、味覚障害はコロナの症状の一つなので、すぐに検査を受けに行きました。結果は陰性でしたが、主治医から念の為家族全員2週間の隔離を言い渡されました。これはきつかったです。その後、家族で再度PCRテストを受け皆が陰性でした。味覚異常は亜鉛不足からも起こるようなので、亜鉛のサプリを取って数日したら味覚はもとに戻りました。長引くコロナ禍の生活で、ストレスもあったのだと思います。 ストレスが起因して味覚障害が起こるようです。

そうして、秋が来て、感謝祭、クリスマスと室内で集まるイベントが続き、週全体の感染者数も増えてきました。例年、娘は冬の間、バスケットボールや室内サッカーのチームに参加するのですが、今年は悩みましたが、室内のスポーツは不参加にし、その代わりにスノーボードのレッスンに通うことにしました。室内スポーツに参加しているご家庭も多く見受けられました。

いつもは家族で集う感謝祭もクリスマスも今年は家族で過ごしました。息子は友達とのクリスマスプレゼントの交換会に誘われました。室内なので不安でしたが、4人だけということなので、2時間でマスク着用、飲食なしという決まりで参加させました。帰りの車の中で色々話を聞いていると、息子はマスクをしていたのですが、友達はマスクをしていなかったそうです。



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