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20231126 仕事におけるオリジナリティとコンテクストについて

You Tubeを見ていて、この動画に出会った。

写真家の渡部さとるさんのYou Tube。
この動画を見ていて、仕事の上でのオリジナリティについて思い出したことがある。

かれこれ、10年近く前だろうか。
当時、仕事をする上でエビデンスに基づいたある理論・考え方に出会った。
自分はもともと理系の人間であるし、そうした考え方を根底に持っているところがあるので、自分にとってこの理論はとても受け入れやすいものだった。
仕事においてプラスになると思い、書籍を購入したり、勉強会にも参加した。
そして、それを仕事に取り入れた。
しかしながらこの理論は、それまでの価値観ではなかなか受け入れられにくいものであった。
なぜなら、誰もがこれまでの方法が「良い」と思っていたのだが、その方法では「ダメ」と否定しているところが多かったからだ。
たしかに、実際に仕事に取り入れてみると、成果はすごく上がり、結果もついてきた。
でも、やっぱり見た目がこれまでの方法と違うので、かなり否定的に捉える人もいたのだ。

自分も20年近く仕事をしてきた中での方向転換だったために、すんなりとこの理論に基づいた仕事ができたかというとそういうわけには行かなかった。
というか、それまでの自分が取り組んでいた方法は、理論など存在していなかったという方が正しかったかもしれない。
感覚で仕事をしていたのだ。
しかし、理論があることで、拠り所ができる。
そして、課題があるとするならば、どこか理論と外れているところがあるというのが見えてくる。
自分の仕事の改善点をよりつかみやすくなった。
だから、その理論に基づいた仕事の取り組み方を進めることにエネルギーを注いだのだ。

ある日、上司が自分の仕事の取り組みを見に来た。
表情は、完全に異物を見る目線だった。
そしてそのうち、「一体何なんだ、これは?」と口出しするようになった。
そこで、これまで自分が読んできた本や同じ理論を元に仕事をしている人などを紹介したりした。
少しブームになってきたこともあったので、マスコミに取り上げられたりもしていたから、その新聞記事なども見せた。
しかし、その上司には理解できなかったのだ。

そして、こんな事を言うようになった。
「仕事を見ていると、本に書かれている通りのことをしている。本に書かれている通りのことはできている。でも、それでいいのか?もっと、オリジナリティをだしなさい。」
つまりは、この理論に基づいた仕事のやり方をやめろということだった。
結局、その話を断ったこともあり、その年度の評価はとても低いものになった。

理論の検証というものには時間がかかる。
ましてや仕事において、人との関わり合いのある中でのところでもある。
本の通りできているという評価があるだけ、ましではあったのだが、オリジナリティを出すということとなると、その理論の課題であったりを学術的に否定する必要も出てくる。
その理論については、学術的に検証され、更には全国各地で追試されていることで、理論の正しさというものがある程度証明されていた。
そんな理論を巷のちょっとかじった程度の人間が否定できるだけの賢さなど持ってもいない。
ましてや、理論を自分のものにしようともがいている最中でもあった。
そんな状態で、オリジナリティと言われるようなものを主張したとしても、ハリボテでしかないことは目に見えていた。

オリジナリティを作るには、コンテクストがあるはず。
この動画の中では、そのように言われている。
学術論文の場合でも、引用論文がまったくない研究は、そもそも価値がない。
そのことも、この動画の中で語られている。
つまりは、どういった流れの中で今があるのかということが存在するはず。

上司のコンテクストからすると、新しい理論は上司のこれまでについて否定していると感じたのかもしれない。
それなりの重職を果たしてきた自負もあったのだろう。

しかしながら、こう思う。
上司は職場の中の歯車としては、とても優秀だったのだろう。
しかし、その仕事が成し得ること、その世界観は持っていなかったのだろうということを。

この動画を見ていて、これまで何年もの間持っていたモヤモヤが晴れたような気がする。

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