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欧州は米国に後れを取っており、その差は拡大している

テクノロジーからエネルギー、資本市場、高等教育まで、もはや欧州は米国に勝てないという。ここ数十年の間に、欧州と米国で広がった競争力の差について、分野別に確認したいと思う。

経済力

2008年時点ではEUと米国の経済規模はほぼ同じでしたが、金融危機以降、米国の経済規模はEUや英国よりもはるかに大きくなっており、その差は益々拡大している。2008年の経済規模はEUと米国でそれぞれ$16.2tnと$14.7tnでした。2022年では、米国の経済規模が$25tnに成長したのに対し、EUとUKは合計で19.8tnの成長に留まっている。

技術力

欧州のテクノロジー市場はAmazonやMicrosoft、Appleなどの米国企業に支配されている。時価総額で上位7社は全て米国企業であり、上位20社に入る欧州系企業はASMLとSAPの2社のみである。

また、中国は独自に巨大テック企業の育成に成功し、欧州の有望な企業はしばしば米国企業に買収されている。例えば、2011年にSkypeはMicrosoftに、2014年にDeepMindはGoogleに買収されている。

更に、現状、AI関連技術は米国と中国の企業が独占している。

教育力

EUの主要大学は世界のトップ30大学にランクインしておらず、EUのテックスタートアップの人材供給源となる大学が不足している。一方、米国の多数の大学は各種世界大学ランキングで常に上位に入っている。

半導体産業

1990年にはEUが世界の半導体生産の44%を占めていたが、現在は9%にまで低下している。一方、米国の半導体生産は12%を維持している。EUと米国は共に半導体生産能力の強化に取り組んでいるが、2025年までに米国では14か所の新しい半導体工場が稼働する予定であるが、EUと中東はわずか10か所の新規稼働に留まる予定である。ちなみに、中国と台湾では43か所の半導体生産拠点を新たに稼働させる予定である。

エネルギー供給力

米国ではエネルギーを安価に提供できるのに対して、現在EUはエネルギー価格の高騰に苦しんでいる。シェール革命により、米国は世界最大の石油・ガス産出国となっている。ウクライナ危機とロシアからのエネルギー供給が途絶えたことで、欧州企業は米国企業に比べて3~4倍のエネルギーコストを支払っている。

欧州が優位性を持つ分野は何か?

一つは、EUが単一市場として機能しており、EUでビジネスを行う場合、EU外の企業を含む全ての企業がEUの規制を受けることである。つまり、規制やルール作りにおいて、EUは世界に対して相応の影響力を有していることが優位性の一つと言える。

もう一つは、ライフスタイル産業である。EUは観光業や高級ブランド市場で高い競争力がある。世界の観光客の2/3は欧州を訪れており、ラグジュアリーブランドの多くは欧州系企業に支配されている。また、世界で最も人気のあるスポーツのフットボールも、欧州のチームが独占している。ただし、人気チームのほとんどは、現在、中東や米国、アジアの投資家が所有している。

参考文献


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