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通信会社によるGHG排出量削減の取り組み

世界中で通話やデータ通信サービスを提供するためには、膨大なエネルギーが必要となります。通信業界の推計によると、通信セクターは、世界で消費される全エネルギーの1~2%を占めていると言われています。主に、広大な地下ネットワークケーブルと大量の情報を保管するデータセンターでエネルギーが消費されています。本稿では、通信会社がどのようにGHG排出量を削減しているのかについて、欧州企業の事例を参考にご紹介したいと思います。

気候変動対策をリードする欧州企業

Tele2(スウェーデン)とTelia(スウェーデン)、Deutsche Telekom(ドイツ)の3社は、2016年から2021年の間に、自社のGHG排出量(スコープ1と2)をそれぞれ99%、96%、93%削減しています。

どのように排出削減を実行したのか?

スコープ1と2の大幅削減に成功した主な要因は、再生可能エネルギー電力の購入とエネルギー効率の悪いインフラの大幅なアップグレードの二つです。

各社は、自社で使用する電力全てを再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、更に、長期的な電力供給確保の観点から、より多くの再生可能エネルギープロバイダーとの電力購入契約(Power Purchase Agreement、PPA)を模索しています。

通信セクターの課題は何か?

エネルギーと排出量削減という観点では、通信セクターの課題は二つあります。一つは、いかに省エネを実現し、エネルギーコストを抑えることができるかです。もう一つは、通信会社の排出量全体の9割以上を占めるサプライチェーンの排出をいかに削減することができるかです。

5Gの整備が進み、データ通信量が世界的に急増する中、それらのサービスを維持するために必要なエネルギーも増大しています。通信会社にとって、事業運営費に占めるエネルギーコストの割合は非常に大きく、省エネの実現は重要な課題となっています。

データ通信量の増加とエネルギー使用量の増加をデカップリングするための対策(省エネ対策)としては、データセンターにおける省電力機能の実装やリチウムイオン電池を活用したピーク需要の負荷軽減、データセンターの統合、人口知能を活用したエネルギーマネジメントなどが挙げられます。

通信会社はここ数年で自社の排出量の大幅な削減に成功しましたが、サプライチェーンの排出量(スコープ3)削減についてはまだ取り組みが進んでいない状況です。通信会社のGHG排出量のうち、スコープ3が占める割合は9割以上に上ります。全排出量のうち、スコープ3が占める割合は、Tele2で98%、Teliaで90%になります。よって、通信セクターの今後の課題は、スコープ3の削減となっています。

スコープ3の主な原因は何か?

排出量が多いのは、ネットワークやネットワーク関連設備の製造過程と、電話やモバイル端末の製造過程になります。

スコープ3の削減に向けた欧州企業の取り組み

上記で述べた欧州企業3社は、スコープ3の削減に向けて、いくつかの取り組みを開始しています。一つは、製品や設備のリユースやリサイクルによる循環型経済への移行です。もう一つは、サプライチェーンの取引先に対してGHG排出量の削減対策を講じるよう働きかけを行うことです。例えば、TeliaやDeutsche Telecomはサプライヤーの入札・選定基準に気候関連の要素を設定しています。

参考文献

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sora
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