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サプライチェーンにおける強制労働リスクをいかに下げるか

KnowTheChainという国際人権NGOの調査によると、情報通信技術(ICT)関連企業は、サプライチェーンを通じて強制労働と繋がりが強い業界と言われています。グローバルに事業を展開するICT関連企業の多くは、既にサプライヤーに対して自社の調達基準を遵守するだけでなく、さらにその先のサプライチェーンに対しても同様の基準を満たすように要求うするようになっています。しかし、同NGOの調査では、そのような基準の順守はTier 1と呼ばれる一次サプライヤーで止まっているといいます。一次サプライヤーより先のサプライチェーンに対しても人権への配慮を求めていくにはどうすればいいのでしょうか。本稿では、その解決策として同NGOがまとめた提言をご紹介したいと思います。


事業会社への提言

  • 迅速な支払い、予測、価格設定など、責任ある調達・購買慣行を実践することで、サプライヤーが自社のオペレーション及びサプライチェーンで適切な労働条件を確保できるようにする

  • サプライチェーンの透明性(つまり、一次工場と二次工場の名前と住所の開示)を含む、サプライチェーン階層全体にわたる労働者中心の人権デューデリジェンスを採用する

  • 人権侵害の是正が確実に行われるよう、レバレッジの活用と同業他社との連携を行う

投資家への提言

  • サプライチェーン上の取引要件・基準について、単に投資先企業からサプライヤーに伝達するだけでなく、責任ある調達・購買慣行を通じて、それら要件・基準が遵守されるようにする(例えば、価格設定に雇用主側の原則を含めることなど)

  • 投資先企業に対して、労働者中心のデューデリジェンスアプローチ(労働者主導のプロセスとサプライチェーンの透明性を含む)を実施するよう求める

  • 投資先企業に対して、サプライチェーン全体において、労働者の権利が侵害されていないことの説明責任を果たし、是正への取り組みを支援するよう求める

参考文献

https://knowthechain.org/ict-companies-need-to-address-forced-labor-risks-further-down-their-supply-chains/


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