パート1-2

さっき手に取った本は、何かにすがりたい僕のための本。

いつもより、異様に長いレジの列に並びながら沈みそうな心臓を必死にかかえてる。

「他人と比べたって意味がない」

頭でわかっているはずなのに、勝手に動く目線の先には今日発売の漫画。

僕の前も、その前も、後ろも、抱えてる。

僕だけが。僕だけが。

改めて、まじまじと自分の手にしてる本を見てしまう。

「あー、面白くなさそうだ」

僕はゆっくりレジに並ぶ列から抜け出した。
今の僕はみんなと同じ列に並べない。
僕は手に取った物を元に戻すことしかできない。

どのジャンルよりも人が少ないそこは
誰も求めてない場所なのかもしれない。


「あっ」思わず声が出た。

人が少ないそこに、僕が戻そうとしたそこに
真っ直ぐにページをめくる人がいた。

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