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古道具を楽しむ #8 堤焼


宮城・仙台を代表する民窯、堤焼。

道具屋ホリデイズの立地にもゆかりのある、堤焼。





堤焼 とは



江戸中期からはじまった民窯。

あつぼったくごつごつした荒い土味に、野趣溢れる白と黒の釉薬。

現在では乾馬窯のみが堤焼の伝統を守り続けているが、かつては仙台市青葉区堤町を中心に、民衆のものとして数多く製作されていた。

主に雑器、生活に寄り添う器として製作された。
まさに民衆的工芸-民芸-。

かの柳宗悦も東北を代表する民窯と称え、日本民芸館にも堤焼のいくつか収蔵されている。
(常設ではないが、運がいいと見れる。僕は甕が展示されているのを見れた。)



堤焼と道具屋ホリデイズ


道具屋ホリデイズは日本のふるいモノをご紹介するお店。
北五番丁と、堤通りが交差する箇所に位置する。

仙台城下北端に位置。勾当台通の東裏に位置し真北に延びる町並み。北山の光明寺東方にある堤(光明寺堤・鹿嶋崎堤)に通じている道の意。
堤焼はこの地の特産品であり,はじめは藩の御用窯であったが,やがて民窯も登場し黒ものとして日用雑器を作り出した。
仙台市ホームページより


(仙台市のホームページ、各地名の由来などが掲載されており、なかなか面白いんですよ。)


堤焼が由来の堤通。
現在ではこの通りで堤焼を製作する方も、販売する方もいない。

2021年よりこの地をお借りしているホリデイズでは、この地名の名の通り、唯一堤焼を販売する者であろう、と常に堤焼の在庫を切らさないように心掛けている。


堤焼の魅力-どんなものがあるの?


堤焼の共通する魅力・特徴としては力強い土味わかりやすい色使い、そしてその形状の素朴さだと思う。

そして土に関してはとても目が粗い。


よくいえば大らか、悪く言えば雑な作りに対して計算され尽くされたかのような黒と白のコントラストがたまらない。


次によく見られる形状ごとにご紹介したい。

1.水甕




大きなサイズのモノのほうが、豪快さや野趣が感じられて好み。


生活水を貯めるために使用されたもの。


手の内にすっぴり収まってしまうサイズから、大きなものだと腰高ほどのものもある。


先にも書いた通りだが、サイズが大きいとより釉薬の豪快さがわかると思う。
黒の釉薬からひと払いでバッと描かれる白の"ダレ"。
縁などにうかがえる釉だまりもまた魅力のうち。


水甕は外に置かれることが多いため縁にソゲが見られる個体が多い



傘立てとして見立てているお家はよく拝見する。
そのほかフラワーベースとしてなどのほか、本来の用途に近い形で台所道具として使う、というのも一つの楽しみ方としていいかもしれない。



2.水鉢




鉢の形状も味わい深い。
普段使う分にどうしても用途は限られるが(先述の水甕と似たような使い方になるだろう)形状が変わるだけでどうもぼってり、可愛らしい印象がある。

また、通常堤焼というと白と黒のコントラストのものが多いが、ご覧の水鉢のような、緑地に白黒の釉薬というものもある。

こちらもまた、品があっていい。


堤焼の水鉢は、あまりサイズにバリエーションがない。
たいてい直径20~30cmほど。

たまに口のあるもの(片口)も見受けられるが、そちらもサイズは大差ない。




3.石皿


皿の形状だと、いろんな用途が想像しやすいと思う。


少し重いが、ランチプレートのように使ってもいい。
水を張ってもいい。
流れる釉薬を楽しむため、皿立てに懸けて眺めてもいいだろう。



堤焼の中でも皿は人気だ。
どうしても僕たちも少し高めに値段をつけることが多い。


今回、堤の石皿を大中小と3点入手した。
形状も色合いもやはり少しづつ違って、とてもよい。


ぜひ違いを見比べていただきたい。




堤焼なら 道具屋ホリデイズ


日本の民窯の中で、一番馴染みもあるし、なにより「カッコいい」と思う。

黒と白ってカッコいいじゃん。

僕は堤焼が好きだ。

そしてせっかく堤通りの真ん前で商売させてもらってるんだし、ということで前述の通り、道具屋ホリデイズでは堤焼の在庫は切らさない。 


堤通側の窓からのぞくと、いくつかの堤焼がのぞけるようなレイアウトも心掛けている。


200年ほどの堤焼の歴史に厚かましい願いではあるが、ホリデイズが「ふるい堤焼の入門」として、堤焼の歴史からをうかがえる場としてあれればいい。

そしてこの地で商いをさせていただいていることに、感謝。

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