天の川を撮ろう①〜事前知識〜
はじめに
皆さんは天の川の写真を撮ったことがありますか?
撮ったことがある方ならわかると思いますが、苦手意識のある方は多いのではないでしょうか?
難しいポイントとしては次のことが挙げられます。
・ピントや撮影設定を星に合わせるため、
地上の景色が綺麗に写らない。
・ISOの設定を上げるので、ノイズが多くなる。
・現像で天の川を強調するとノイズも強調されて
ザラザラになる。
・現像で天の川を強調する方法がわからない。
・そもそも星にピントが合わせられない。
今回は、そんな天の川写真を美しく仕上げるための撮影・現像方法について、①事前知識、②撮影編、③現像編1、④現像編2の4回に分けて解説します。
2月から天の川撮影シーズンが始まります。撮ってみたいと思っている方は今年こそチャレンジしてみましょう。
目指す仕上がりについて
SNS等で天の川の写真を見たことがある方はわかると思いますが、人によって天の川の強調具合や色などの仕上がりが全然違います。というわけで、あらかじめ私が解説する天の川写真の目指す仕上がりをお伝えします。
今回の解説はあくまで初心者向けです。
星景写真専門の方が当たり前にする工程を省く等、簡易的な方法です。もちろん、私が写真作品としてOKを出す程度の品質は保証します。
本気で妥協無く最高品質の星景写真が撮りたい人は、専門の方からノウハウを買ってください。
私レベルの写真で十分だという方は読んでください。
天の川を美しく仕上げるポイント
天の川を美しく仕上げるポイントは「地上が綺麗に撮れない」、「ノイズが多い」という問題を解決することです。その方法について解説します。
1. 星空と地上を合成する
星空と地上のどちらも美しく仕上げるためには、別々に撮影して合成する必要があります。ただし、デメリットもあります。
【メリット】
・星空・地上をそれぞれ適正な設定で撮影できるため、格段に美しく撮れる。
【デメリット】
・合成が手間。
・星空と地上の境界がごちゃごちゃしていると
綺麗に合成することが難しいため、構図選びが
限られる。
初心者向けに合成を勧めたくないですが、品質上、それをするだけの価値はあるのでこの方法を解説します。
2. 加算平均合成でノイズを減らす
加算平均合成とは・・・同じ位置のピクセルの情報を足し合わせて平均値を採用する合成方法です。加算平均合成をするためのソフトとしては「Sequator」、「Photoshop」などがあります。
どのような合成なのか例を見てみましょう。
ある1つのピクセルの明るさを数字にして考えてみます。(わかりやすいように色などは考慮しません)
1の明るさを持ったピクセルがあるとします。
これに3の明るさを持ったピクセルを加算平均合成すると、
(1+3)÷2=2 の明るさになります。
同じ設定・構図・時間帯で動かない被写体を複数枚撮影した場合、同じ位置のピクセルの情報は単純に考えると同じです。そのため加算平均しても変わりません。
ここにISOによるノイズを含めて考えてみます。
ISOを上げて発生するノイズの位置はランダムに発生する特性があります。
1の明るさを持ったピクセル20枚の内に、1枚だけ明るさ4(ノイズ)のピクセルがあった場合、加算平均すると、
{1(ノイズなし)× 19枚
+ 4(ノイズあり)× 1枚}÷ 20枚
= 1.15
つまり、ノイズの発生個所がランダムな場合は、加算平均でノイズが目立たなくなります。
ここで2つ疑問を持つ方もいるかと思います。
1つ目に、星は動いているから1枚1枚同じ位置のピクセルのデータは違うのでは?ということです。
その通りなので、対処が必要になります。方法としては画像処理ソフトで星の位置を合わせる、または星の動きに合わせてカメラを動かす赤道儀という機材を使います。
ここでは画像処理ソフトで星の位置を合わせます。
2つ目に、AIノイズ除去ではダメなの?ということです。
最近は現像ソフトにAIノイズ除去機能があります。加算平均合成をしなくても手軽に同等のノイズ除去をしてくれる優れものですが、デメリットが2つあります。
・飛行機や衛星の処理が手間
星空を撮るともれなくと言っていいほど飛行機や衛星が写りこみます。よく見ると1枚の写真に10か所以上写っているなんてことはよくあります。加算平均合成をすれば飛行機や衛星も消してくれます。これを気にしない方はAIノイズ除去だけでOKです。
・小さい星が丸にならない
LightroomとPureRAWのノイズ除去を試しましたが、小さい星の点が線になります。といっても、出力がA3サイズ程度なら気にならないレベルなので、大体の方は気にしなくて良いと思います。
今回の解説は以上になります。
天の川写真を美しく仕上げるためには、次のポイントが重要です。
・星空と地上を別撮りで合成する。
・加算平均合成でノイズを減らす。
これらを踏まえて次回は撮影編を解説します。
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