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どうでもいい手の話

私の手は小さくてぷくぷく

私は20代半ばのいい大人なのに
大人の手とは思えない

別に太ってないのに(別に痩せてないけど)
手だけは小太りの子供みたい

学生の時 認知心理学の講義を取った

その講義で
「自分のコンプレックスが回転寿司のお皿に乗ってレーンの上を流れていくイメージをしてください。
流れて行ったコンプレックスは海に落ちてなくなっていくイメージをしてください。」
と言われた

隣に座ってた友達は
「色が黒い、鼻が低い、背が低い、頭が悪い…」
と言った感じでいくつもコンプレックスを呟いていた

しかし私がレーンに乗って流れていくイメージをしたのはただ1つ

「手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく…」

永遠に呟いた

手がぷくぷくなこと以外完璧という訳ではもちろん無い

しかしその時は手がぷくぷくなことに全集中力を奪われてしまった
それくらい私にとって手がぷくぷくな事は嫌だった

だって手って、自分で1番よく見るじゃん!
自分の全身の中で1番見えるんだもん!!
気になるっしょ!!!!

「手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく…」
隣でそう唱え続ける私につられて気がつけば友人も

「髪がパサパサ、脚が短い…手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく…」
と呟いていた

気がつくと2人揃って
「手がぷくぷく、手がぷくぷく、手がぷくぷく…」

だんだん何やってんだかわからなくなった

私のコンプレックスは皿に乗って簡単には流れてくれない

彼女のコンプレックスもきっと簡単に流れて行ったりしない

そんな事でなくなるようなもの、コンプレックスなんて呼べないからね

構わないよ

私の小さいぷくぷくの手は
白くて柔らかくて暖かい
ハイジの白パンみたいにきっと誰かの傷を覆う日が来る
大切な誰かのために拳にして戦う日が来る
いっぱいに開いて夢を掴み取る日が来る

どっかに流れてなんて行かなくていい
この手でずっと大事なものを守って掴んで
抱きしめていくぞ

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