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テノール? ソプラノ? わたしの声種は何?

10月10日に無事終演した「歌う喜び ソプラニスタ木村優一2022年オータムコンサート」で、演奏の合間に今回サポートしてくれたメンバーの方々を交え、さまざまなトークをしました。

そのなかで、特に盛り上がった話題が、大学時代のこと。

きっかけは、榊原大(piano)さんの
「大学の試験をするときからソプラノの声で歌ってたの?」
という質問でした。

ここで、コンサートに来られなかった方たちにも、私のソプラニスタならではの苦労話(?)をご紹介します。


何科で受験したの?

今も変らないと思いますが、東京藝術大学の声楽を受験するためには、声種を選択しなければいけません。

声種は

ソプラノ(女性の高声部)
アルト(女性の中低声部)
テノール(男性の高声部)
バス(男性の中低声部)

の4種類。熊本から藝大の声楽科に進学した先輩に聞いてみると、

「木村君は男の子だから、ソプラノの声で歌っても、テノール科でしか受験できないよ」
と。いろいろ調べてみると、過去にカウンターテノール(当時はソプラニスタという言葉は一般的ではなく、私もカウンターテノールと言っていました)の声で声楽科を受験/卒業した人たちは、テノール科卒業。ということで、私もテノール科で受験しました。しかし、声は今と同じソプラニスタの声。

入試は声種ごとに行われるので、テノール科の受験は当然、テノールの声で歌う人が順番に歌っていきます。その中で突然私がソプラノの声で歌ったので、下を向いて聴いていた試験官の先生方も、「え?」という感じで、一斉に顔を上げていました。

入学しても大変

それでもどうにかこうにか、無事テノール科の一生徒として合格できたのですが、入学して最初に困ったのが、合唱の授業でした
合唱も在籍している学科のパートを歌うので、テノール科の学生は当然テノールを歌うのですが、私はテノールでは歌えないので、合唱のとりまとめをしている先輩に相談してみたところ、「アルトに行ってください」と言われました。カウンターテノール=女性のアルトの音域を歌う、というのが一般的なので、そう言われるのも無理はないかもしれない、と思い、初日はアルトパートを歌いました。声楽のレッスンのとき、私が当時師事していた先生に、「あなた合唱はどこ歌ってるの?」と聞かれたので、

木村「アルトです」
先生「あなた、アルト歌ってるの?! ソプラノ歌わなきゃだめよ」

ということで、次回からソプラノのパートに。やっと居所が決まりました。

しかし、合唱のコンサートのときには、立ち位置に困ることが。

うまいこと、男性と女性の間に立つことができれば、特に目立たないのですが、黒いタキシードを着ている私が、白いブラウス姿の女性たちに混ざって歌わなければいけないときは、ちょっと辛かったです。白鳥の中にカラスが一羽状態でした。

テノールの声で受験したのでもなく、テノールの声の勉強をしたわけでもありませんが無事、「テノール科」を卒業しました。今でもテノールの声では歌えません(笑)。

大学時代、声にまつわる珍話はいろいろありますが、それはまた別の機会に。

ソプラニスタ、カウンターテノールなどの声種については、こちらもご覧ください。


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