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誰が「物流」を殺すのか - ⑨ネット通販物流(フルフィルメントセンターの実務)

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「ネット通販の歴史と現状」というテーマの記事を書いた。

今日は「フルフィルメントセンターの実務」について書いていこうと思う。


フルフィルメントセンターの実務

フルフィルメントとは、通販事業において、顧客から注文を受けて商品を届けるまでの一連のプロセスを指す。具体的には、受注・在庫管理・ピッキング・仕分け・流通加工・梱包・発送などであり、場合によっては代金の請求や決済の処理、クレーム処理や問い合わせ対応を含める。

ネット通販の場合、カタログ通販やテレビショッピングなどと違って、顧客からのオーダーはすべて販売サイトからデータ化されて入ってくる。そのデータを在庫と引き当てて、該当商品を(格納されている棚やラックなどから)ピッキングし、輸送に適した梱包を行い、配送用のラベルを貼付して発送を行うところまでがフルフィルメントセンターが担う業務だ。そして、その一連の流れがスムーズに行われるためには、欠品なく適切な量の在庫を抱えていられるように在庫管理をする必要があり、また倉庫内のスペースを最大限に生かすことができ、且つピッキングを最速で行うことができるよう、倉庫内のレイアウトが最適化されていなければならない。

そういった設計を通販事業者側で行う場合もあるが、設計と実務をセットで外部の物流事業者に委託される場合(3PL / サードパーティ・ロジスティクス)もある。

商品が購入者に届かないとネット通販は成立しない

ネット通販は、顧客が購入した商品が顧客の手元に届いたときにビジネスが成立する。なので、商品がまだフルフィルメントセンターの中にある時点で、ひとつひとつの受注に対し、どのように顧客(購入者)の手元に届けるか、その方法が割り当てられていなければならない。配送方法もそれをおこなう運送事業者も様々だ。その中からどんなチョイスをして、それらをどのように組み合わせると最適解が出る(最もコストが安く、且つ最速で目的を達することができる)のかを事前に設計しておいて、それを引き当てる機能を持たせておかなければならない。

さて、フルフィルメントセンターでそれらを適切に管理するためには、倉庫運営に必要なKPI(重要業績評価指標: Key Performance Indicator)を設定し、計測する必要がある。

数が数えられないヤツは物流に向かない

KPIなどというと、なんだか仰々しくて、とてつもないシステムを導入しなければならないような印象を受けるが、実はそんなことはない。重要なのは「正確に数を数えること」だ。

例えば、「人時生産性」は "処理ケース数÷投入人時" で計算する。つまり、それぞれの生産ラインで一定の期間(時間)で何個処理できたかが数えられていればよく、それに対して何人の作業員がそれぞれ何時間作業したかが記録できていればいいだけだ。

また「積載率」は "積載数量÷積載可能数量" だ。実際に稼働した1台のトラックに何個荷物を積んだのかが数えられていればいいだけで、それぞれの荷物がどんなサイズであったのか引き当てられるように設計がされていれば計算はさほど難しくない。トラックの最大積載量は車格によって決まっているのだから、あとは全体の積載率を見たいのか、方面別を見たいのか、管理側の戦略に合わせて計算のロジックを変えればよい。

「数が数えられないヤツは物流に向かない」
これは、ボクが昔からよく言っている言葉だ。

とはいえ、フルフィルメントの規模が大きくなってくると、ひとつひとつ手作業で(目検で)数を数えることが難しくなり、数を数える作業自体が作業効率を低下させることになる。なので、バーコードやQRコードなどを使ったり、センサーを導入したり、それらを統合的に管理するシステムなどを導入することになって行くのだが…



KPIを細かく書き出すと読み物として面白くなくなるので割愛するが、細かく知りたい人は以下のURLにでもジャンプしていただければと思う。

(続きはまた来週)


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