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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう - ⑩「管理」とは組織に無理をさせることではない

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「コミュニケーションとは何か」について書いたが、今日は「管理とは組織に無理をさせることではない」ということについて書こうと思う。


「管理」の定義

この本は「マネジメント」というタイトルだが、今ボクはこの本(エッセンシャル版)の第6章29の「管理」の章で手が止まっている。

「マネジメント」って「管理」のことではないのか。
なぜ「マネジメント」の本の中に「管理」という章があるのか。

「管理」を辞書でひいてみると、以下の記載がある。

1 ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。
2 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。3 法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること。

https://www.weblio.jp/content/%E7%AE%A1%E7%90%86#google_vignette

なるほど…
ついでに「マネジメントと管理の違い」でググってみると、こんな記事も出てきた。

業務管理:一定の基準から外れないように全体を統制すること
マネジメント:組織が成果を出すために環境を整備すること

以上のように業務管理とマネジメントはよく似ています。
しかし、業務管理は一定の基準から外れないように全体を統制することを指すのに対して、マネジメントは組織が成果を出すために環境を整備することを指します。つまり、両者はアプローチの方法が変わってくるということです。

業務管理は単に管理職が従業員を統率するための行動を意味し、マネジメントは経営に関して成果を出すために行う行動を意味するわけです。その点が両者の違いとなります。

https://column.nippoukun.bpsinc.jp/management-difference/

もうひとつ、こちらのサイトからも定義をお借りしておこう。

【管理者が行うべき3つの管理とは】出典: https://brains-inc.co.jp/column/column-consulting/column-consulting-manegement/post-226/

管理は単なる数値の管理ではない

よし、一旦「管理」の定義は理解できた。
そのうえで、ドラッカーの「マネジメント」へ戻ろう。

管理が「一定の基準から外れないよう統制する」という前提で、ドラッカーは、管理の手段は客観的でも中立的でもダメだと説いている。管理とは単なる数値の測定ではなく、人が起こす現象の変化の測定だ。観測者自身が主観的な目線で、対象者の変化と一緒に変化していかなければならない。

そして、成果に焦点を合わせなければならない。
ドラッカーは、組織の活動の成果は組織の外に表れるとおっしゃっている。つまり、顧客や社会が自社の製品やサービスを評価してくれることが成果だということだろう。しかし、その評価を数値化することは難しい(売り上げが上がったという点のみは測定できるが…)。

さらに、測定できる事象は過去のものしかなく、未来の事実を測定することはできない。

法人とは法律上の人格

一般的な企業は「法人」だ。
「法人」とは、法人設立手続きを行ない、法律によって、人と同じように権利・義務を認められた組織のことを指す。

ボクらは普段の生活をしているとき、いちいち「右足を動かそう」などと考えない。だが、水に潜ろうとするときは、意識的に呼吸を止める。息を止めないと肺に水が入って死んでしまうことを本能的に知っているからだ。

ボクは今、パソコンでこの文章を書いているが「Nのキーを右手の人差し指で叩こう」などと考えながら打っているわけではない。だけど、パソコンを触り始めたばかりの頃は「Nのキーはどこだっけ…」と考えながら打っていたはずだ(もう忘れてしまったけど…)。

なんで今ボクがブラインドタッチでキーボード入力できているかというと、それはシンプルに「訓練してきた」からだ。スマホのフリック入力もそうだ。最初は非常に手間取ったが、今となっては昔のようなポチポチ入力には戻れない。それはボクの脳内に髄鞘形成と呼ばれるシナプスの形成が起こり、目で見たこと(もしくは脳で考えたこと)が指先に素早く伝達できるようになったからだ。

そこにはキーボード配列というルールがある。
ルールとは制約だ。そして、その制約の中で「一定以上のスピードでキー入力ができること」を目的として訓練を積んだわけだ。一定以上のスピードとは、自分が自分で設定したものではなく、他の誰かをベンチマークし、その人と同程度もしくはそれ以上のスピードを目指してきたのだ。

組織が健康であるということ

法人は人の集合体だ。
法人を人体に置き換えて考えてみるとどうだろう。

法人の中にルール(制約)は存在しない。ルールは目的を達成するために外部から取り入れるものだ。法人の中に存在するのは「機能」であり、各部署が必要な機能を滞りなく果たすことが求められる。

一定以上の成果を出すためには、特定の部署の機能を研ぎ澄ますための訓練を行わなければならない。訓練を積むことにより、脳(経営層)との間にシナプス形成が行われ、目的(ベンチマーク以上の成果を出すこと)を達成することができるのだ。

しかし、筋肉は疲労する。
正しく血液が循環するように体全体を整え、筋肉の隅々まで酸素が行き渡るようにし、定期的に休息を与えなければならない。そして、遺伝子異常などによって悪性化してしまった細胞は、早期に発見し取り除かなければならない。

目的を達成することも大事だが、何よりも健康であることが一番なのだ。

(続きはまた来週)



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