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競争戦略論[Ⅰ]を読む - ⑧独自戦略にはトレードオフが不可欠

さあ、水曜日だ。
毎週水曜日はマイケル・ポーター著「競争戦略論」をベースに、ボクの気づきや思考をアウトプットするシリーズを展開している。

先週は「弱者の戦略は選択と集中」という記事を書いたが、今週は「独自戦略にはトレードオフが不可欠」ということについて書いていこうと思う。


戦略を正しく理解すること

先週の記事で、弱者の戦略は選択と集中であり、トレードオフ(何かを得ると何かを失う)がパクられることを防ぐという内容を書いた。

しかし、トレードオフを伴った「戦略」が正しく練られていて、さらにその「戦略」が正しく機能している会社は少ない。それは、トレードオフが会社の成長を阻害しているように見えるからだ。自分は正しい判断をしていると思っていても、その戦略の意味や目的を正しく理解していない人から見ると、それは間違った選択と映る。

結局は、多くの人(経営者)が「ベストプラクティス」を求めてしまうのだ。他者(他社)がやっていて、効果が出ている(ように見える)ことを真似ることが、わかりやすく、すぐ実施できる戦略のように見えてしまうのだ。

業務効率と戦略は明確に区別せよ

重要なのは「妥協しないこと」だ。

会社の個々の活動が、戦略である「イメージや評判」「活動」「調整と統制」にフィット(適合)していないのであれば、「それは間違っている」と言わなければならない。戦略の策定と実行において、「何をすべきか」と同じくらい「何をすべきでないか」を定義することが重要なのだ。

業務効率と戦略は異なるものとして明確に区別しなければならない。この二つを混同してしまうと、自社のポジションは競合他社の中に埋もれてしまい、いつしか誰からも見向きされないような会社になってしまう。

どんな会社でも(その大小に関わらず)独自の戦略ポジションによって、一定の規模感に成長したはずなのだ。しかし多くの会社(特に中小企業)は、その独自の戦略ポジションにすら気づいておらず、いつのまにか他社が実施して(もしくは業界内で)有効だったと言われているベストプラクティスを真似し、それによって生み出されるプロダクトやサービスを顧客に売り込もうという戦略に変化していく。

独自性の再発見が重要

そういう経営でも、業界の競争要因に変化がなければ、それなりの利益を生むことができるだろう。しかし、ひとたび業界の競争要因に変化が起きると、そういった会社の収益性は大きく低下し、時としてそれが致命傷になってしまう。

重要なのは、独自性を発見することだ。いや「再発見する」と言った方がいいかもしれない。一定のポジションにたどり着いた会社(や人物)は、誰もが独自の戦略ポジションを持っていたはずなのだ。

その独自性をどこかに置いてきてしまってはいけない。
成長に伴って顕在化してくる「トレードオフ」を、怖がらず、受け入れなければならないのだ。

(続きはまた来週)

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