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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう -④プロフェッショナルとしての責任

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

ご興味おありの方は引き続きお読みいただけると幸いだ。


知りながら害をなすな

ドラッカーがはっきりと述べているのは、マネジメント(このシリーズの中では、管理や育成を行うチームの意で使用する)はプロとしての倫理観を持たなければならないということ。そしてその倫理観の基本は「知りながら害をなすな」であるということだ。

「プロたるものは、医者、弁護士、マネージャーのいずれであろうと、(顧客に対して必ず良い結果をもたらす約束はできないので、最善を尽くすことしかできないのだが…)知りながら害をなすことはしないと約束しなければならない。顧客がこれを信じられなければ何も信じられない。それでいながら、プロたるものは自立性を持たなければならない。顧客によって、支配、監督、指揮されてはならない。また自らの知識と判断が自らの決定となって現れるという意味においては、私的な存在でなければならない。しかし同時に、自らの私的な利害によってではなく、公的な利害によって動くことこそ、彼に与えられる自立性の基礎であり根拠である。」

プロフェッショナルは、自身のアイデンティティ(主体性)に基づいて、イデオロギー(政治や会社の思想)に流されてはいけない。しかし、プロフェッショナルは、依頼人から仕事を請け負っている以上、その利害の関係性において言動が制限される、というバランスの中で最善の努力をしなければならない。その微妙なバランス感において、時としてどちらかにブレてしまうこともあるだろうが、その時に芯として持っておかなければならないのが「知りながら害をなしてはならない」ということだと理解しよう。

人としての倫理観

マネジメントの人間も個人としては被雇用者に過ぎない。
マネジメントに属するそれぞれの個人が、人として社会のリーダーであるわけではなく、企業の中でリーダー的地位にあるグループの一員であるだけだ。

そして(前回の記事で書いた通り)マネジメントには責任を果たすための権限が持たされている。

マネジメントはそのポジションの責任において、原則的にその企業が定めた規定や倫理に従う義務がある。そして日本人であれば日本の法令に従わなければならない。

しかしドラッカーは、マネジメントは企業人として以前に、人としての倫理観を持っていなければならないと説いている。それは以下の3つだ。

日常の正直さ
>> ごまかしたり、盗んだり、嘘をついたり、贈賄したり、収賄したりしてはならない。この誘惑に負けた者は、その人がどんなポジションであっても厳しく罰せなければならない。

人間としての美意識
>> 美意識とは、ルールとして決まっているわけではないが、自らを律するための信念のようなものだ。例えば、人の悪口を言わないとか、待ち合わせの10分前に現地に着くよう出発するとか、どんな相手であっても敬語を使うとか、誰かに強制されるものではないが、自分のアイデンティティを確立させるためのモラルのようなものだろう。

社会的な倫理観
>> マネジメント各個人は、地域社会において、自らの時間を地域社会の活動に費やさなければならない。ただし、これは会社から強制されるものではなく、会社から賞されるものであってはならない。もちろんそれによって報酬を得たり、昇進することがあってはならない。

社会的な影響への配慮

マネジメントは、企業が及ぼす社会的影響に対する責任を果たす上で、必要な知識を備えておかなければならない。

例えば、企業はCSR(Corporate Social Responsibility: 企業の社会的責任)の観点より、環境や人権に配慮した行動を実践するべきである。大手企業はパリ協定の批准の実現に向けて、工場や事業所のCO2排出を抑える努力をしていたりいる。しかし、社会的な影響を考慮しなければならないのは大手企業だけでない。中小企業やフリーランスにもできることは多い。

例えば、SDGs(Sustainable Development Goals)のアクションの中で「エシカル消費」が推奨されている。エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した商品を選んで購入する消費行動だ。これであれば、中小企業やフリーランスであっても、社会的責任に寄与することができるはずだ。ほかにもできることはたくさんある。

マネジメントはこういった知識を身に着け、実践していかなければならない。

(続きはまた来週)


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