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環境問題を理解するために知っておきたい「エネルギーミックス」

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
これまでに「温室効果ガス」「ゼロカーボン」について書いた。

今日は、火力発電や原子力発電、太陽光発電など、エネルギー(主に電気)の作り方とその共有源について書こうと思っていたのだが…

このシリーズは環境問題について考えることが目的だ。なので、CO2の排出を抑える(ゼロカーボンを目指す)ためのエネルギーミックスについて触れておく必要がある。なぜ国が太陽光パネル設置に補助金を出しているのか、また原発再稼働を急いでいるのか、その背景を理解したうえで、各エネルギーの特性や技術などに触れていかなければならない。

さて、このシリーズが一般受けしない内容であることはボク自身もわかっている。ご興味ある方だけ読み進めていただけると幸いだ。
なお、この記事は2023年時点で公表されている情報を元に書いている。エネルギー政策は毎年のように更新されていくので、適時みなさん自身で最新の情報を入手していただきたい。


日本のエネルギー政策

日本のエネルギー政策は「S+3E」を柱として進められる。
安全性(Safety)を大前提として、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時に実現しようという考え方だ。

3Eを重視しようと考えたのは、2010年の「第一次エネルギー基本計画」、パリ協定の採択の5年前のことだ。2030年までに14基の原発を新設し、原子力発電の比率を50%にすることを決めた。しかし翌年の東日本大震災による東京電力福島第一原発事故によって、原発の安全性に懸念が広がったことを受け、安全性(Safety)を加えて再議論することになった。

ロシアのウクライナ侵攻によって、あらためてエネルギー安定供給にスポットが当たった。エネルギーの輸入先を分散するだけでなく、国内自給率を高め、また自然災害にも強いエネルギーシステムを作ることも重要だと考えられるようになってきた。また、世界情勢が不安定になったことから、ガソリン代や電気代が高止まりしている現状において、より少ない燃料で大量のエネルギーを作る効率性も求めていかなければならない。そして、エネルギーを使うときだけでなく、作る時においてもCO2の排出量をゼロに近づけていかなければならず、併せて大気汚染物質の排出を抑えることも重要だ。

「S+3S」をベースにエネルギーミックスを考える

国は2011年に「エネルギー・環境会議」を設置し、2012年に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。2014年に第四次エネルギー計画が閣議決定されたことを受け、2015年に2030年までのエネルギー需要見通しが公表され、その対策として、以下の5つの施策が掲げられている。

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