誰が「物流」を殺すのか - ㉒誰でもより良い条件の会社に転職ができる時代
さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先々週は「良い評価制度には因果関係と測定可能性が必須」というテーマの記事を書いた。
今日は「誰でもより良い条件の会社に転職ができる時代」であるということについて書いていこうと思う。
評価制度が公平公正であること
1. 人と成果の因果関係を明確にすること。
2. その人が生んだ成果を正確に測定できる仕組みを作ること。
その2つの基準によって、企業はより良い評価制度を作ることができるはずだが、それはあくまでも作る側の思い込みでしかない。その評価基準が恣意的である限り、その評価制度が公平公正であるかどうかは評価される側が判断することになる。
評価基準(もしくは評価制度自体)の公平性に疑問を抱く従業員の一部は声を上げ、どこに問題点があるか教えてくれるかもしれない。経営者はその声を真摯に聴き、修正を加える部分があるかどうかを検討すべきだ。しかし、評価基準に疑問を抱く大部分の従業員は声を上げることはない。
昨今の日本において、(社会にイノベーションをもたらそうと考えるスタートアップ企業や一部の大企業を除いて)多くの企業は同じ業界内で同じような事業を行っている。よって、従業員の大半はより良い条件を提示してくれる同業他社に移籍することをためらわない。
むしろ、彼らはより良い条件を提示してくれる会社を探している。
今はそれが誰でもできる時代だ…
日本の労働市場の現状
ちょっと面白い資料を見つけた。
厚生労働省が(おそらく)2020年に発表した「労働市場における雇用仲介の現状について」という資料だ。
まず、日本の人口は2015年から減少に転じている。
これは周知の事実であり、政府や地方自治体も対策を打っているようだが、現実的に人口が回復する見込みはない。
総人口と労働力人口は若干異なる。
労働力人口とは「15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者の合計数」を指しているが、この労働力人口は2020年以降下に減少する見込み(当時)だ。2024年現在の日本は、すでに労働力人口も減少フェーズに入っていることだろう。
日本の求人環境の変化
転職する場合、昔は公共職業安定所(現ハローワーク)一択だったが、1998年にリクルート社がタウンワークを発行したあたりから、日本人の転職の考え方が変わってきた。2000年以降に(同じく)リクルート社のリクナビが、毎日コミュニケーションズのマイナビが、インターネットの普及に伴って利用率を伸ばした。そしてIndeedが日本に進出し、2012年にリクルート社がIndeedを買収している。
以下のグラフにある通り、2012年以降「求人メディア」の求人件数は急角度で上昇している。ちなみに、2006年~2008年の3年間はバブル崩壊後の就職氷河期(有効求人倍率が1.0を下回っていた時期)が終結し、求人状況が「売り手市場」に転換した時期だ。また、2008~2009年に一気に求人が落ち込んだのはリーマンショックの影響によるものだろう。
自社の足元を見る必要性
多くの会社がそういった求人メディアに募集広告を出す。
リクルート社は日本の求人環境に大きなイノベーションをもたらした。それは、どんな人でも企業が提示する就職条件を簡単に調べることができる仕組みを提供したことだ。それによって、ネームバリューの低い会社であっても優秀な人材を採ることができるようになった反面、求職者が最初の選択権を握る時代になった。加えて労働力人口の減少によって、日本の求人環境は完全な「売り手市場」だ。
広告(Advertisement)とは、「商品や興行物などを広く知らせ、人の関心を引きつけること。また、それを記したものやコマーシャル」のことを指す。多くの企業は、他社よりも自社に関心を持ってくれる「広告」を出そうと躍起だ。
しかし、まずは自分の足元を見るべきだ。
(続きはまた来週)
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