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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう - ⑲イノベーション

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「成長のマネジメント」について書いたが、今日は「イノベーション」について書こうと思う。


イノベーションとは

イノベーションというと、ボクらはスティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表したときのプレゼンを思い浮かべるだろう。

ボクらはイノベーションという単語を割と曖昧に捉えていて、なんとなく「革新的な技術を世の中に送り出すこと」というイメージを持ちがちだが、ドラッカーはイノベーションについて以下のように書いている。

イノベーションなる言葉は、技術用語ではない。経済用語であり社会用語である。イノベーションをイノベーションたらしめるものは、科学や技術そのものではない。経済や社会にもたらす変化である。消費者、生産者、市民、学生その他の人間行動にもたらす変化である。イノベーションが生み出すものは、単なる知識ではなく、新たな価値、富、行動である。

ドラッカー著「マネジメント(エッセンシャル版)」 第9章 - マネジメントの戦略 - より

ボクが経験したイノベーション

実は、ボク自身も日本で起きた「とあるイノベーション」を、起こした側で携わっていた経験を持っている。

確かに、イノベーションはテクノロジーがもたらすものだ。ボクが経験したイノベーションもベースに最新のテクノロジーがあったことは間違いない。しかし、世の中に変革をもたらしたのは、そのテクノロジーそのものではなく、そのテクノロジーが生み出したサービスが世の中に受け入れられたからだったのだ。

結果論で言うなら、そのイノベーション以前にインターネットやスマートフォンの普及があったこと、そしてベースとなるサービスがすでに存在していたこと、そして世の中に大きな変化が起きたこと、などの要因があった上で、タイミングよく革新的なアプローチのサービスを展開することができたというところだ。

正直に言うと、当時ボクらはそれが世の中にイノベーションをもたらすなどとは思ってもいなかった。世の中に受け入れてもらえるよう、がむしゃらに働いていただけだった。そして数年たって振り返ってみて、そのサービスが世の中に定着し、求められる存在になったと気付いたときに、あれがイノベーションだったんだなと思った程度のことだ。申し訳ないがイノベーションを起こしたという実感はない。おそらく当時の上司や同僚たちもみんな同じように思っているだろう。

ちなみに、現在においてはそのイノベーションはもう我々の手を離れつつあり、他社においても同じサービスを展開するよう(市民や行政から)声が上がるようになってきている。

重要なのは常に革新的なことに取り組む文化

重要なのは(企業文化として)常に革新的なことに取り組んでいく姿勢だと思っている。つまり投資を渋らないということだ。この「とあるイノベーション」も、サービスを市場に投下する2年前に小規模な実証実験を行っている。その時は受け入れられないだろうと思われていたものであっても、世の中に変化が起きると途端に求められるものになったりするのだ。

上手くタイミングが合って世の中に受け入れられるアイディアは、せいぜい1%程度だ。99/100の投資は実現することなく、注ぎ込んだ資源が無駄になってしまうことを前提に、常に投資を続けていく姿勢がなければイノベーションを起こすことはできないだろう。

(続きはまた来週)


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