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環境問題を理解する: 日本における種の絶滅の危機

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。

今日は「種の絶滅の危機」について書いていこう。


地球で過去に起きた大量絶滅

歴史を遡ると、地球上では過去に5回ほど生物の大量絶滅が起きたそうだ。

1回目:約4億4400万年前(オルドビス紀末)
2回目:約3億7400万年前(デボン紀後期)
3回目:約2億5100万年前(ペルム紀末)
4回目:約1億9960万年前(三畳紀末)
5回目:約6600万年前(白亜紀末)

大量絶滅の原因は、気候変動や火山の噴火、氷河期、隕石の落下などで、こういった自然状態の絶滅は年間に0.001種程度であったと推定されている。その一方で、現代では人間活動によって種の絶滅が引き起こされていて、1975年以降において1年間に約4万種もの生物が絶滅していると考えられている。

日本における生物多様性の危機の要因

日本で確認されている生物の種はおよそ9万種だ。まだ発見されてない生物も含めると、日本には30万種以上の種が生息していると言われている。またその内、陸生哺乳類、維管束植物の約40%、爬虫類の60%、両生類の80%が日本固有種であり、世界的に見ても固有種比率が高い国という特徴がある。

日本の生物多様性の危機には、以下の4つの要因がある。
1. 人間活動によるもの
人間活動および自然開発などが、直接的に種の絶滅や生態系の破壊や生物の生育空間の縮小などに影響していること
2. 自然に対する働きかけの縮小によるもの
人間の生活様式や産業構造の変化、および人口減少などの要因により、自然に対する働きかけ(里地里山などの環境への関わり方)が変化すること
3. 人間によって持ち込まれたもの
外来種や化学物質など、人為的に持ち込まれたものによって生態系が乱されること
4. 地球環境の変化によるもの
地球温暖化など、地球環境の変化によって生態系が乱されること

環境省レッドリスト2020

環境省は2020年3月に「環境省レッドリスト2020」を公表した。
このレッドリストに掲載された生物に対して、捕獲の規制などを行うものではないが、社会への警鐘として情報提供することによって、様々な場面で多用な活用がされることを期待するものだ。

レッドリスト2020において、絶滅危惧種は3,716種、また将来絶滅危惧種になる可能性がある準絶滅危惧種は1,364種である。

レッドリストは、分類群ごとに専門家による検討会を設けて評価し、動物では、①哺乳類 ②鳥類 ③爬虫類 ④両生類 ⑤汽水・淡水魚類 ⑥昆虫類 ⑦貝類 ⑧その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群ごとに、植物では、⑨維管束植物 ⑩蘚苔類 ⑪藻類 ⑫地衣類 ⑬菌類の分類群ごとに、計13分類群について作成している。

https://www.env.go.jp/content/900502268.pdf

自然環境保全基礎調査

また国は、自然環境保全基礎調査と呼ばれる、生物多様性に関する基礎情報の収集を行っている。それは、陸域、陸水域、海域の現地調査から全国の動植物の分布、植生、干潟、藻場、サンゴ礁などの生態状況を記録し、取りまとめるもので、1973年に第1回調査行われ、その後2012年までに7回の調査が行われている。

モニタリングサイト1000

また、生態系のタイプごとに自然環境の現状および変化を長期的に定点調査する取り組みも行われている。それは、高山帯、森林、草原、里地里山、陸水域(湖沼および湿原)、沿岸域(砂浜、磯、干潟、アマモ場、藻場、サンゴ礁)、小島嶼について、約1,000か所のモニタリング調査を行っており、「モニタリングサイト1000」というウェブサイトにまとめられている。

(続きはまた来週)


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