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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう - ⑮トップマネジメントの役割と仕事

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「なぜ大企業病が起きるのか」について書いたが、今日は「トップマネジメントの役割と仕事」について書こうと思う。


トップマネジメントとは

ISO(国際標準化機構)において、トップマネジメントは「最高位で組織を指揮し、管理する個人あるいはグループ」と定義されている。日本の職階で言うと、代表取締役・取締役副社長・専務取締役・常務取締役、などとなり、欧米ではCxO(Chief xxxx Officer)という言い方になろうかと思う。

なお、その下位に「ミドルマネジメント」と「ローワーマネジメント」が存在すべきであり、ミドルマネジメントは部長や課長のような、中間管理職のポジション(欧米では xxxx Managerと表記)、ローワーマネジメントは係長や主任、現場監督、プロジェクトリーダー、チームリーダーなど(欧米では xxxx Leaderと表記)という仕事の割り振りがされる。

トップマネジメントの役割

さて、ドラッカーは、この本の中でトップマネジメントの役割について、以下のように書いている。

トップマネジメントに課される役割は、各種の能力、さらには各種の性格を必要とする。少なくとも四種類の性格が必要である。「考える人」「行動する人」「人間的な人」「表に立つ人」である。ただし、これら四つの性格を併せ持つ者はほとんどいない。」

ドラッカー著 「マネジメント」第8章より

原文を読んでいるわけではないが、ここで言う「能力」はおそらく英語では「Capability: ケイパビリティ」であろう。Capabilityは仕事や目的の達成に必要な能力のことを指し、素質や手腕といった意味でもある。そして「性格」はおそらく「Personality: パーソナリティ」だろう。Personalityは人間関係の中で表れる行動パターンを指す。

トップマネジメントの仕事はチームで行う

ドラッカーは、トップマネジメントはチームで行うべきと説いている。そして、トップマネジメントが現業の長(つまり部長職など)との兼任であってはいけないとも説いている。それはトップマネジメントの仕事が多岐にわたり、且つ多元的であるからだ。

具体的にトップマネジメントの仕事は以下の6つとなる。
1. 事業の目的を考える(企業の目標の設定、経営戦略の策定、意思決定)
2. 規範を定める(企業のビジョンとバリューの設定)
3. 組織を作り維持する(企業文化の醸成、人材育成、組織設計)
4. 外部との連携や交渉(取引先、金融機関、政府機関など)
5. 行事や食時間などへの参加(儀礼的なものを含む)
6. 危機管理(緊急事態においては自ら出動する)

しかし現実的には…

ドラッカーは「トップマネジメントはチームで行うべき」と説いたが、一般的な中小企業ではそれはなかなか難しいだろう。多くの中小企業においては、社長が一人でこれらの業務をこなし、必要に応じて部長などを巻き込んで意思決定を行ったりするものだ。しかし、それは時として方向性を見失う場合がある。

トップマネジメントがチームで構成されている(わかりやすいところで言うと、欧米ではトップマネジメントが「CEO: 最高経営責任者」「COO: 最高執行責任者」「CFO: 最高財務責任者」「CTO: 最高技術責任者」「CHRO: 最高人事責任者」などと役割分担されている)のであれば、それらのメンバーがそれぞれが担当分野を持ち、それぞれが最終的な決定権を持って意思決定をすることができ、その是非について侃々諤々の議論をすることができる。しかし、部下である部長などを巻き込んだ場合、彼らに決定権はなく、(相談したとしても)最終的に社長の独断で決定される場合が多い。もちろん、それでうまく会社が進む場合もあるが、知らず知らずのうちにワンマン化してしまい、現場との軋轢を生むこととなってしまう。

もし、中小企業の社長が誰かに意思決定の相談をするならば、その相手はトップマネジメントの6つの仕事を全て理解していて、それを実践できる能力(Capability)を持った人物であるべきだ。そして、社長に向かって臆せずモノが言える性格(Personality)、逆に言うと社長が絶対の信頼を置く人物でなければならない。

(続きはまた来週)


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