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SBG6 暇つぶしに学校へ行こう!

カテゴリー 3 学校との付き合い方

「学校」の始まりは「娯楽」だった!?

英語の「学校」を表す語schoolの語源は古代ギリシャ語のscholē (スコレー)で、元来は「ひま」、「余暇」を表す語でした。「個人が自由に幸福感を感じるための時間」を意味していました。
「拘束されずに個人が自由に主体的に自己充足に充てる時間」が保証されているところが本来の学校であるならば、今の学校とは随分違いが大きいですね。近代以降から現在の「学校」というものに対する大まかな解釈は、「企業や国家の期待に応える人材の養成機関」となるでしょうから、「個」の重視というよりは「総」が重視され、「個が自由に幸福感を感じる」などといったイメージは、持ちにくいものとなっています。
 辛うじて、「主体的」という言葉は、最近の教育改革*で「主体的・対話的で深い学びの 視点からの授業改善」と謳われるようになりましたが、その言葉の導入でさえ、全く新しい発想ではなかったことに気づかされます。*平成29・30年改訂学習指導要領

 ところで、キミはなぜ学校(高校)へ行くのか。候補を7つ挙げてみました。
①いろいろなことを学びたい、知りたい、勉強したいから。学問に興味 があるから。
②高校卒業の学歴が欲しいため。または大学進学のため。
③教科・科目の履修以外の目的のため。友達と一緒にいたいとか、クラブ活動のため。
④学校へ行く以外の時間の過ごし方がわからないから。
⑤自分の明確な理由はないが、皆が行くから。親が行けと言うから。「学校へは行くもの」という社会通念があると思うから。
⑥楽しいから。学校という空間が好きだから。
⑦世界には学校へ行けない人がいるのに、自分は通わせてもらっていることに感謝しなければならないから。親が大学に行けなかったから。
 
 語源の意味と一致しそうなものは、①③⑥となるでしょうか。④はどうでしょう。これって、暇つぶしに学校へ行くようなものですよね。「こんなんでいいの?」と、まじめなキミは思うかもしれませんが、ブレーズ・パスカルは「娯楽や暇つぶし無しでは、人は生きられない」と解釈される言葉をパンセという断章に書き残しています*1。
 また、「気晴らし」*2と訳されるものについてもあります。彼の「気晴らし」とは「仕事や心配事など、それらに集中している気持ちをそらせ、紛らわせる活動、とりわけ余暇に行われる娯楽である」とし、さらに「人間の一切の活動である」と言っています。

 わたしは、キミ達が学校へ行く理由が「何かでなくてはならない」とは思いません。元来の定義である「個人が自由に幸福感を感じるための時間」、「個人が自由に主体的に自己充足に充てる時間」というものであれば、それが何であっても、十分な理由として成り立つのではないかと思っています。そのような時間を体験することが、これからの時代に、キミ達が固定観念に囚われない自由な発想を創造していく為の力になると信じています。

 学校へ通わせてもらえるキミであるならば、学校というものを楽しむといいのです。基礎学力と教養を身に着けることも含めてすべての学校での活動は、余暇と暇つぶしであるとみて、楽しむことが許されているのです。思いっきり学校を楽しんでください。
*1完訳パンセ 田辺保訳(角川書店) P.109   *2パンセ(上巻)塩川徹也訳(岩波文庫) P.159


SBGs コラム  授業1時間の価値

 キミ達が教育を受けるということには、親や国、地方自治体からお金が払われているのです。キミ達の大半は、そのための労働や納税の義務から解放されています。やっとの思いで学費を工面してもらって通っている人も、事情で全く通えなくなった人もいます。
高校生の場合、授業一コマ当たり1,000~1,500円*と言われています。授業には、1時間受けてみて、「よくわかった」、「何がわからなかったかを知れた」というものから「この授業に1,000円払うの?」といったものまで存在します。場合によっては、2,000円、あとになって1,000万円の価値に相当するものかもしれません。
これに対して、キミ自身が価値を台無しにしてしまっている場合もあります。「居眠りをしていた」、「自分で考えようとしなかった」、「グループで意見を共有しようとしなかった」といったものです。自分の態度や姿勢が問われるものも価値に影響を与えます。
このことを、キミはどう考えますか。

*金額はスタディサプリ「よのなか科」藤原和博の動画(リクルート社)を参照し、それに続く文章は、動画の内容を基に筆者の考えを述べたもので、藤原氏が直接述べたものではありません。
https://link.studysapuri.jp/ja/organizations/58102c641929e157320031de/curriculum#curriculum

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