デカルトのコギト命題に潜む「隠された前提」——スピノザによる指摘
スピノザの『デカルトの哲学原理』によると、デカルトの「私は考える、故に私は存在する(Cogito, ergo sum)」という「コギト命題」には、隠された前提が存在する。デカルトは、この命題こそは、一切のものがその上に構築されるべき第一の真理とした。しかし、スピノザは、デカルト哲学における根本的な矛盾を指摘する。
その矛盾とは、「私は考える、故に私は存在する」には、よく見てみると、この命題は、ある別の命題を前提にしていることだ。たとえば「考えるためには存在しなければならない