四百四話 好きなのかな?

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。

かわいいお洋服に着替えて…。

座って寛いでいるだけで…。

日給1万円以上稼げる…。

夢のようなお仕事…。

そんなバイトでお友達になった…。

眠子さんのお家でお泊まりしている私。

眠子さんは今流行りのVRゲームの原作者で。

ゲームのシナリオも担当しているという…。

結構すごい人なのであった…。

眠子さんはゲームのシナリオを…。

寝る前にある程度書き上げて…。

私と一緒に寝よう〜という眠子さん…。

私はベッドで眠子さんに抱きつかれて…。

抱き枕のような状態になってしまうのだ。

寝る前に眠子さんが書いている…。

ゲームのテストプレイヤーになってほしいと。

言われたのだけれど…。

私はほとんどゲームをしたことないので…。

(子供の時やったなんとかクエスト以来かな?)

あとは簡単なスマホゲームしかやったことない。

お友達と一緒にやってもいいと言われたので。

初めてできたギャルのお友達藍さんと…。

一緒にゲームのバイトしてもいいかなぁ?

と思う私であった…。

学校ではすれ違いばかりなので…。

もしかしたらゲームの中では一緒にいれそう。

そんなことも考えてしまう私…。

そんなことを考えているうちに…。

私も寝てしまうのであった…。

朝起きて、私は勘違いしちゃって。

自分の家で寝坊しちゃったと思ってしまう。

ここは眠子さんの家で学校も休みだ。

隣では眠子さんがまだ寝ていて…。

なかなか起きない眠子さん…。

私は起こそうとして頑張るのだけれど。

ついには眠子さんのお母さん…。

圭子さんまで眠子さんを起こしに来た。

圭子さんの大きな声でようやく…。

起きた眠子さん…。

私は眠子さんを連れて…。

ダイニングテーブルまで行くのであった…。

ダイニングルームに行くと…。

テーブルの上には美味しそうな…。

パンケーキが4皿あった…。

どうやら圭子さんが作ってくれたらしい。

私、圭子さん、眠子さんの3人だけれど。

なんでパンケーキが4皿あるのかなぁ?

そんなことを考えながら…。

私は台所の椅子に座った…。

すると、真っ黒なスーツを着た…。

髪の長ーい女性がいるのを確認できた…。

私は寝ぼけているのか…。

その人をお化けか何かと勘違いして…。

ひっと小さく悲鳴を上げてしまうのであった。

でもその女性は眠子さんのお客さんであって…。

眠子さんがシナリオを書いているゲームの…。

運営の人だったのである…。

運営の人、運営Lさんという名前の女性は。

眠子さんにシナリオができたと問うた。

眠子さんは当然できてると返答している。

パンケーキを食べたら、打ち合わせをしたいという。

私はここにいていいのかな…?

場違いじゃないかな…?と思ってしまう。

「乃亜ちゃんも打ち合わせ参加してねぇ〜」

眠子さんが眠そうな声で言う…。

え?なんで?と思ったのだけれど…。

私のことをテストプレイヤーとして…。

推薦したいと眠子さんは運営Lさんに。

言うのであった…。

さっきまで大人しかった運営Lさんは…。

私の両手を取って、喜んでくれた…。

「あまりゲームをした事ない人を探していたんです!」

運営Lさんの黒くて長い髪が…。

さっと分かれて、顔立ちが見えた…。

第一印象はなんか薄い印象だなぁと思ったけれど。

化粧映えしそうな綺麗な美人さんだった…。

瞳も鼻筋も唇も肌の色も薄い…。

でも大人なスーツを着こなして、すごい…。

私は少し見とれてしまうのであった…。

ほどなくして私たちは…。

パンケーキを食べ終えた…。

圭子さんにご馳走様と挨拶して。

私と眠子さんと運営Lさんは…。

また眠子さんの部屋に向かうのであった。

眠子さんはまたベッドに寝転んでしまう。

「眠子さんはいつでも眠そうですね」

運営Lさんは少し呆れて言った…。

「いつもの膝枕やっておくれよ〜」

眠子さんが甘えたような声で言う。

しょうがないですねぇと…。

運営Lさんはベッドに腰を下ろして…。

眠子さんに膝枕をしてあげるのであった。

眠子さんったら、誰の膝枕でも…。

いいのかしらと…?

私は訳のわからない嫉妬をしてしまう。

「乃亜さんでしたっけ?」

運営Lさんはそのままの格好で…。

私に質問した…。

私はそうですと返答した…。

弊社のゲーム…。

『デモンズファンタジア』の…。

テストプレイヤーをしたいと言うことで。

運営Lさんはそう聞いてくる…。

私がやりたいわけじゃなくて…。

眠子さんに頼まれたので…。

成り行き上そうなっただけです…。

私はそう説明した…。

ゲーム名も初めて聞いた…。

「今度の大幅アプデで…」

運営Lさんは眠子さんの髪を撫でながら。

また説明してくる…。

デモンズファンタジアのアプデで…。

ゲームをやったことない初心者までを…。

新規プレイヤーとして参加してもらいたい。

今まで男性プレイヤーが多かったので…。

今度は若い女性プレイヤーも獲得したい。

そのためにはゲームを抜本的に変える…。

それが今回のコンセプトらしかった…。

だから私のような女子高生に…。

テストプレイヤーをして欲しいのかな?

私はそう思った…。

デモンズファンタジアは…。

今までとは全く違うゲームに…。

生まれ変わるらしい…。

運営Lさんは少し興奮しているようで。

薄い色素の頬が少し赤くなっている…。

ゲームはファーストシーズンが終わり…。

ストーリーも新しくなるらしい…。

それを眠子さんが書いていたのか…。

眠子さんはそのデータをもう送っているらしい。

だから運営Lさんの膝枕で寝ているのだ。

運営Lさんは眠子さんの身体を…。

愛おしそうに撫でている…。

もしかして運営Lさんは…。

眠子さんのことが好きなのかな…?

そんなことを私は思ってしまう…。

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