三百三十七話 ステータス

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


訳あって謹慎が明けて、学校に登校した私…。

教室に登校する前に、理事長先生に呼ばれた…。

理事長先生から謹慎のことを少し聞かれたりして。

その後に謎の天使のカードを頂いた…。

カードはプリズム色に輝いていて…。

大天使の絵が描かれているのであった…。

綺麗な女性が祈りを捧げている絵…。

女性の背中には天使の羽が生えている…。

誰もが想像するよであろう典型的な天使像。

そんな不思議な天使のカードを理事長先生に頂いた。


その後教室での自己紹介も無事?終わったけれど。

お昼休みにクラス委員の奥井さんに言いがかりをつけられた。

その時に理事長先生から頂いた天使のカードが役に立った。

でも、そのせいでお昼ご飯を食べ損ねてしまう。

そして、放課後になり帰ろうと思ったらけれど…。

1人で帰ろうと思ったら、教室の外に花子さんが待っていて。

一緒に帰ろうと提案してくれた。

宮園花子さんは道で倒れていたので私が助けたのだ…。

花子さんと一緒に私の住んでいる家に帰る。

それ以来、お姉さまと呼ばれ慕われている。

私は今、女悪魔のグレモリーの家でお世話になっている。

学校から数分の距離なんで、その家にすぐ着いた…。


すぐにグレモリーが出迎えてくれて…。

私たちはお腹が空いていたので、夕食タイムになった。

グレモリーはレトルト食とかが好きなので…。

夕食はカップ麺だった…。

私と花子さん、グレモリー3人でカップ麺を食べる…。

なんとも味気ない夕食だけれど…。

居候の私には文句の言いようがない…。

食べ終えた後、私は天使のカードを眺めていた。

そしたら、グレモリーにそのカードを見られてしまい。

カードの使い方等を色々説明してくれた…。

カードを私のスマホの側面にある溝スリットにスキャンさせて。

そうすると、カードの天使を召喚できるそうで…。

スマホはグレモリーが魔改造?してくれたのである。


私は言われた通りにカードをスマホでスキャンした。

スマホの画面に、大天使の姿が現れ始めた…。

召喚といっても、スマホの画面に出るのか…。

慈愛に満ちた優しそうな大天使だった…。

名前も書いてある。大天使ガブリエル…。

このカードは大天使ガブリエルというのか…。

大天使ガブリエル…。

名前を聞いたことがある人も多いであろう。

すごい有名な大天使である…。

聖母マリアがイエスキリストを受胎した時…。

そのことを告げた天使としても有名である…。

絵画にもなっている受胎告知…。

私はそのぐらいの知識しかない…。


でも、すごい天使なのは間違いないであろう…。

「お、お姉さまの後ろに…」

花子さんがすごい狼狽えている…。

私は自分の後ろを見ると…。

慈愛の満ちた瞳をした女性が立っているではないか!

その女性の背中から翼が生えており…。

頭上には天使の輪っかが乗っている…。

誰もが想像するであろう、天使の姿だった…。

手には百合の花を持っている…。


本当にガブリエルを召喚してしまった!

私もびっくりしてしまって、絶句してしまった。

私の背後にすごい美しい女性天使が立っている。

何か喋りかけてくるかと思ったら、無言であった。

「カードのキャラは分体なのであまり喋りませんよ」

グレモリーがそう説明してくれた…。

なんだ召喚した者は、喋ったりしないのか…。

っていうか、グレモリー、キャラって言った?

「本当は大魔王と会って大魔王を召喚して頂きたかったのですが」

グレモリーは少し残念そうな顔をしている…。

「でも、これで召喚の練習はできましたし。万事OKです!」

練習で召喚された大天使ガブリエルって…。どうなの?

なんだか背後にいるガブリエルさんに申し訳ないような…。

それから数分が過ぎているけれど…。

一向に消える気配がない大天使ガブリエル…。

ど、どうするのよ!?これ!?

私はなんだか途方に暮れてしまうのであった…。


ずっと私の背後にいる大天使ガブリエル…。

どうしたら消せるのか?

まさか、ずっと私の背後にいるとか!?

それは困る。そもそも寝る時はどうするのだ?

寝転がった時、ガブリエルが背後にいたら…。

私の身体と寝具の間で、挟まってしまう…。

「ご主人様ガブリエルのステータスとか気になりますか?」

グレモリーは勘違いして、そんなことを言った…。

「スマホの画面をスライドさせてください…」

私はガブリエルのステータスなんて全然どうでもよかった。

でも、一応グレモリーの言う通りにする。

スマホは天使の画像が出ていて…。

それを横にスライドさせると…。


大天使ガブリエル(属性風及び万物)

レベル99

HP9999

MP9999

腕力23

知恵55

魔力56

体力22

素早さ47

運60


というステータスの数値が出てきた。

レベルはカンストの99。

HPもMPも最高値らしい。

でもガブリエルは攻撃は得意じゃなくて。

全体回復魔法の慈愛の風と…。

弱体化を無効化してくれる百合の祈りという

スキルを持っているらしい…。

らしいと言うのはグレモリーが説明してれた。

まぁ、カードの絵からして乙女って感じだし。

攻撃より回復が得意だろうとなんとなくわかる。

それはわかったけれど…。

ガブリエルの消し方がわからないのだけれど…。

よく見たら、ステータスの下に…。

召喚中止というボタンがあった…。

私はそのボタンを押してみる…。

すると、ガブリエルの姿が希薄になり…。

次の瞬間、大天使の姿は跡形もなく消えたのである。

よかったと胸を撫で下ろす私であった…。

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