三百五十四話 秘書
「ごきげんよう」「神のご加護を…」
朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。
学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。
そう、ここは神田ミカエル女学院…。
中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。
天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?
その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。
ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。
制服は翻さないように、静かに歩き…。
清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。
この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。
否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。
紆余曲折、いろんなことがあったけれど…。
私の学校はやっと冬休みに入った…。
冬休みに入った私はだらけきっていた…。
冬は寒いので、炬燵が欲しいーと駄々をこねた…。
今、お世話になっているグレモリーにおねだりした。
日本人にとってすごい馴染み深い炬燵 …。
ご存知だったでしょうか?炬燵の起源は古く…。
なんとその発祥は室町時代まで遡れるそうです…。
火燵とも書く炬燵…。
昔はやぐらと同意で…。
やぐらを組んでそこに炉を設けたのが炬燵らしいです。
室町時代の囲炉裏の火力を落として灰をかぶせ …。
その上に簀の子に短い脚をつけた台を置き衣服を被せたもので。
その後、床の一部を少し掘り下げて低い位置に囲炉裏を設置する形になる。
そんな昔から炬燵はあったのですね…。
すごく驚きました…。今は電気で暖まるのが主流ですね。
グレモリーにおねだりした私…。
すると、すぐにグレモリーはド○キに行って…。
炬燵を買って来てくれたのである…。
ありがとうグレモリーさん…!
早速私は炬燵に入ってみる…。
あったかくて、気持ちよくてダメになる〜…。
グレモリーも初めての炬燵に入ってみて…。
あまりの気持ちよさにだらけきっている…。
こないだ半透明のアストラル体になった花子さんも…。
炬燵にずっぽり入って、寛いでいる…。
炬燵は人間も悪魔もダメにする器具なのだ…。
それはさておき、大魔王サタン様と契約することになった私。
名前だけはすごい有名なサタン様を少し調べてみた…。
敵対者あるいは悪魔とも呼ばれるサタン。
あらゆる義の敵でありまた神に従おうと努める人々の敵であるという。
サタンはかつては「神の前で権威を持っていた」天使で神の霊の息子。
サタンはルシファーと同一視されていて…。
神に対して反乱を起こし、その罪で魔界に堕とされたという。
私はルシフェル様にも会っていて…。
ルシフェル様はルシファーのことである…。
サタン様にも別に会っている…。
ルシフェル様はすごいお優しいお方で…。
サタン様は、すごい怖い方だったような?
なんとなくだけれど覚えているのだ…。
そして、次の日…。
外は冷たい風が吹いているというのに…。
グレモリーがサタン様に会いに行きましょう!
そんなことを朝から言うのであった…。
私は寒いので、ずっと炬燵に入っていたい…。
いたいというか、ズッポリと炬燵に入ってる私。
それでも、グレモリーはすぐに出発すると言い出し。
私を炬燵から出してしまうのであった。
私は着替えて、コートを羽織った…。
サタン様がどこにいるかわからないので…。
グレモリーが案内してくれると言う。
グレモリーもいつのまにか外出用の服に着替えていてる。
一緒に住んでいるギャルの藍さんはもう遊びに行っていて。
花子さんはお留守番である…。
私たちは、寒い中家を後にしたのであった…。
「ところで、サタン様はどこにいるの?」
私はグレモリーに聞いてみた…。
「サタン様はすごいところにいらっしゃいますよ」
ふふふ、と微笑んでいるグレモリー…。
なんか勿体ぶっている笑みである…。
ちゃんと教えてよーと言う私…。
「なんとサタン様は、新宿都庁にいらっしゃいます!」
えっへんと胸を張って言うグレモリー…。
えぇっ!?サタン様は都庁にいらっしゃるのぉ!?
とびっくりするところであるけれど…。
別にグレモリーが偉いわけではない…。
なんでグレモリーが偉そうなんだ…?
「なんでサタン様は都庁にいるの?」
私は歩きながら聞いてみる…。
「サタン様は都知事になりたかったらしいのですが」
同じく歩きながら答えてくれるグレモリー…。
「都知事にはなれず秘書をしてらっしゃるらしいです」
残念でしたねと言う顔のグレモリー…。
サタン様は魔都東京に降臨したので 。
どうせなら東京で1番偉い地位に付きたかったらしいが。
今でも女性現都知事の権力が強く…。
都知事選挙で敗退したらしい…。
選挙で負けた人が、秘書になれるのか…?
と私は思ったのだけれど…?
サタン様はどうにか魔力でゴリ押したらしい…。
そこまでできるのなら、魔力で都知事になればいい…。
と思わないでもない私であった…。
私たちは新宿に向かうために山手線に向かった。
駅で切符を買おうと思った私だが…。
あいにく持ち合わせがなかった…。
グレモリーが私の分のICカードをくれた…。
ちゃんとチャージもしてある…!
ありがとうグレモリー…。
これで、いちいち切符を買わなくていいね。
ICカードを持つの初めての私…。
なんか妙に緊張してしまうのであった…。
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