百四話 噛み砕いたモノ
喫茶店『天使の扉』で働く私。
今日初めてお帰りになったお嬢様にいろんなことをされている…。
身体のいろんな場所を触られたり…。
そして、となりに座れと言われたり…。
このお店はいつもこんな接客なのだろうか…?
お触りOK、となりに座るのもOK…。
毎回、こんなことしていたら、とんでもなく疲れてしまう…。
それとも、このお嬢様が特別なのだろうか…?
いろんな疑問が湧いてきて、頭の中がグルグルしてしまう…。
そして、ついにお嬢様は変態すぎる要求を、私にするのであった…。
モーニングセット二つを、テーブルに持っていった私…。
そして、モーニングセットのトーストをナイフで器用に切り分けるお嬢様。
そして、そのまま食べるのかと思いきや…。
毒が入ってるかもしれないと言い出し、私に毒味してほしいと言う…。
私は差し出されたフォークに乗ったトーストを、おずおずと口に含むしかなかった…。
トーストは、少しまだ熱くてバターが染み込んで、とても美味しかった。
私はそのトーストをよく噛み、飲み込もうとした。
そしたら、お嬢様が、待って飲み込まないで、戻してと、とんでもないことを言う。
戻す…?私がよく咀嚼してしまったこのトーストだったものを戻すと…?
お嬢様はまたフォークを私の口元に差し出してきた…。
ここに、私が咀嚼したトーストだったものを吐き出すと…?
私はひどく躊躇してしまうのだった…。
私の唾液たっぷり含んで、噛み砕いたトーストをまた出せと…?
お嬢様は無言でものすごい形相で、私を促がす…。
早くだしなさい…。あなたが咀嚼したトーストだったものを…。
そんなお嬢様の心の声が、聞こえてくるようだった…。
私は意を決して、口の中で噛んだトーストをまた一箇所にまとめた…。
舌で、ドロドロになったトーストをまたまとめ集める…。
こんなものを、また外界に晒していいのだろうか…?
でも、お嬢様はじっと怖い形相で、私を見続けている…。
私は、口を窄めて、トーストだったものをフォークの上に出した…。
フォークの上に乗ったトーストだったもの…。
私がよく噛んだおかげで、ボロボロになっている…。
ボロボロになったところに私の唾液が入れ混じって…。
テラテラと濡れ、見様によってはキラキラ光り輝いていた…。
お嬢様の方を見ると、お嬢様も瞳をキラキラさせて私の咀嚼したトーストに魅入っていた。
「こんなに綺麗に噛み咀嚼した食べ物初めて見たわ…」
お嬢様はいたく感動しているようだ…。
「あなたみたいな綺麗な美少女が咀嚼したトースト。至高のトーストよ…」
まるで高尚な芸術品を見ているような感じで言うお嬢様だった…。
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