八十三話 朝食

そのあと、優しい翼さんは、私の髪と身体も洗ってくれた。
翼さんも自分の髪と身体を洗い、二人は浴室を後にした…。
そのあと、着替えをした。着替えは私が家出した時の衣服しかなかった…。
私は恥ずかしくて、モジモジしていると翼さんが自分の下着を貸してくれた。
翼さんの下着は、蛍光色のピンクが派手なスケスケな下着だった。
翼さんはスケスケなピンクの下着が好きなのだろうか…?
私は、履かないよりはマシだと思い、それを履くことにした…。

そして、私は衣服も着て、出かける準備をした。
翼さんも手早く着替え、薄く化粧もしている。
「さて、朝食にしましょうか…?」
私は食卓につき、翼さんは、簡単な目玉焼きを作ってくれた。
「それでは、天に在します神に感謝…。いただきます…」
翼さんはそう言うと、それを食パンに挟み、美味しそうに食べている。
私も「いただきます…」と静かに言って、翼さんに倣って食パンに挟み食べた。
半熟の黄身が口からこぼれそうになり、私は黄身を慌てて啜った。
翼さんは私のその様を微笑みながら、見ている。
恥ずかしいからそんなに見つめないでほしい…。
私はこそばゆくなりながらも、パンに挟んだ目玉焼きを食べた。
二人は軽い朝食を食べ終え、準備を終え、部屋を出た。

外は秋の肌寒い朝の風が吹いている。
家出する前は、まだまだ夏日が続き、暦では秋だが暑い日が続いていた。
家出したあたりから、だいぶ秋らしい気候になり肌寒くなってきた…。
私も薄いコートを羽織っているが、うすら寒かった…。
翼さんはそれを感じてくれたのか、私を抱き寄せくれた。
落ち葉が舞う中、二人は恋人のように肩を寄せ合い、朝日の中を歩いた。
私は身体も心も少しずつ温かくなり、幸せだった…。
翼さんと私、本当に恋人同士になれればいいなぁと、心の底から思った…。
これから始めての仕事だと言うのに、私は浮き足立っていた…。

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