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七十九話 妖精になった私。

ベッドに寝ている翼さんに、キスした私。
あと、裸の翼さんの胸の谷間の汗を、吸い取った私。
あまりの変態行為に、ドン引きな私だったが…。
翼さんから分泌される全ての液体…。
そう想像すると、私は興奮せざるを得なかった…。
そして、私は舌を伸ばし、ついに翼さんの汗を舐め、吸い取った。
舌の上で、翼さんの汗を転がし、味を確認した。
その味は少ししょっぱかった。
甘い味など微塵もせず、ただただしょっぱいだけだった…。
人の汗の味など、そんなものなのだろうか…。

私はいつしか夢を見ていた。
夢を見ている私が、夢を認識している。
夢を認識している私が、夢を見ているのか…。
わかりやすく言うなら、私はこれは夢だなと、わかっていたわけだ…。
私は羽の生えた小さな虫…。否、小さな悪魔になっていた。
あまりに自分が小さ過ぎて、自分を虫だと思ってしまっていた。
でも、自分の身体を見ると、ちゃんと人間の身体をしている。
私は全裸だった…。
見おろすと、自分の小さな胸、幼いお腹、すらりと伸びる脚が見てとれた。
そして、私は空中を飛んでいる。
背中に蝶のような黒い羽が生えているのだ。
黒い揚羽蝶のような、妖しい羽だった。
真っ黒な羽に、アクセントのように蛍光色の青が散りばめられている。
遠目からは、漆黒の悪魔のような羽に見えただろう…。
私はその羽を、羽ばたかせ、宙に浮いてるのだ…。
私は、その姿になんの躊躇もなく、ひらりひらりと飛んでいる。
羽が生えて、飛んでいることも、当たり前のように受け入れている。

そして、私の目の前には、真っ白なとても大きい半円球の物体があった。
真っ白といっても、人の肌の色だ。
そこからはとても芳しい匂いが、立ち上っている。
花の花弁の匂いのような、果物の熟れた果肉のような匂いのような…。
私は、その匂いが鼻腔に入った瞬間、欲望に囚われた。
半円球の物体に、縋り付き、貪りたいという欲求…。
私は、たまらず飛んでいき、半円球の物体に飛びついた。
そして、自分の舌を伸ばした。
舌は蝶の口吻のように伸び、半円球の物体についてる朝露のような液体を舐めとった。
その液体は、甘露のように甘かった。
私は無心でその液体を、舐めとり、貪った。
甘くて切ない好きな人の味…。

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