第五話 花京院店開店

なんだかんだで、ギャラリーはオープンしました。
宣伝は一切せず、自分の作品を壁に飾り、自分の立体作品やネコの人形、ポストカードに値段をつけて、カラーボックスに配置。その頃は、カラーボックスも2〜3個しかなく、とてもシンプルな空間でありました。
まぁ宣伝をしていないので、人が来るわけも無く、1週間が過ぎ。
しばらくすると、看板を見て人々がポツポツとやってきました。けれど、癖のある人々しか来ません。明日どうにかなりそうです、どうしたらいいですか?と、こちらが滅入るような辛い人生相談をしにくる人、手品を見せにくる人、ずーっと外から覗いていて、声をかけてみると逃げる人など。要するに暇な人しか来なかったのです。
これでは「暇な人の、都合のいい無料休憩所」になってしまいます。
色々考えあぐねていたところ、ある作家さんがウチに来店し「作品を置いて販売したい」と伝えて来ました。それは面白いと思い、販売手数料だけは取るという事で、場所代は取らずに貸し出しました。その噂が伝わり、色んな作家さんたちがウチに押し寄せて来ました。なんせ、無料ですからね。
しばらくは無料でした。しかし、ある事に気がつき始めたのです。
レベルの低い作品が目立つようになりました。
お客様からお金を取るのが失礼なレベルです。
紙をザクザク切っただけ、フェルトをザクザク切っただけ、仕上げや形もガタガタ。既製品のアクセサリーそのまま。でも値段は高い。
そんな事態を目の当たりにして、どうにも我慢できなくなりました。

そして、ある月から場所代をいただく事を決めました。
そうすると、そういった作品を出す人から順に居なくなりました。不思議なものです。

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