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スウェーデンでの生活#9 復元された軍艦

東京はいまだに暑い日が続いているらしいが、北緯60度近くのここストックホルムではキャンパス内に栗のような実(どんぐりにしてはでか過ぎる)がそこかしこに落ちていたりして、日々秋の訪れを実感している。朝晩が特に冷え込む感じで、昨日などは一瞬雹が降っていて驚きのあまり思わず窓際に駆け寄ってしまった。ただ、寒い国だからといってみんなその寒さに慣れているというわけではないようで、向かいの机のひとがニット帽+マフラー+コートの完全防備スタイルで帰っていくのを見ると少し安心する。

さて、今日はご存知の方もいるかもしれない、スウェーデン人が誇りにしている「ヴァーサ号博物館」について紹介したい。ヴァーサ号は17世紀に作られた軍艦で、初航海で沈没したのを後に海底から引き上げられ、ほぼ原型をとどめた状態で保存されている。薄暗い館内に入ると中央に60mを超える木造の船体が展示されている。

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それなりに期待はしていたけれど、実際に目にすると木でできているとは思えない精巧さと曲線美に圧倒される。400年も前にこれを造るだけの技術があったというのは割と信じられない。ボスに「沈没した船の展示を薦めるとかどうなんだって自分でも思うけど、絶対に行くべき」と食い気味に言われたのをだいぶ疑っていたのだが、確かにこれを見ないと後悔するかもしれない。特にエンジニアとか物を作るのが好きな人には刺さると思う。多分。

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写真の錨はストックホルム港のどこに船が眠っているのかを調べるのに使ったものらしい。ヴァーサ号の復元作業についてのドキュメンタリー映画も見たが、船体の引き上げから残された設備・生活用品の調査、腐食を遅らせるような形での復元まで気の遠くなるような努力と技術といった印象だった。それなりに大きな船(しかもところどころ金属?石?が使われている)をケーブルをかけて引き上げ、さらに復元するというのはさすがに無茶だと思う。世界最大のジグソーパズルと呼ばれているのもうなずける。

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博物館は6階建てになっていて、船をいろいろな角度から間近で観察することができた。上の写真は船の後ろの部分にある彫刻で、下のような鮮やかな色の染料が使われていたらしい。本来の色がどのようになっていたかはプロジェクションマッピングのような映像から知ることができた。騎士がたくさん並んでいるのは少しシュールな感じがするが、王冠や獅子の像は威厳があって美しい。

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17世紀に使われていた武器の展示もあって心が躍る。大砲が置かれていた船の内部を模した部屋に入る体験もできて楽しい。思った以上に暗かったが、それで狙いを定めるのが大変になったりとかはしないのだろうか…

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同じく体験型っぽい展示で感動したのがこれ。マスト上部の見張り台的なところを実際に歩くことができる。固定してあっても傾斜のあるところを歩くというのは案外難しく(バランス感覚がないだけかもしれないが)実際には揺れる船の上でとなると到底無理だ…と思ってしまった。見張りの人ってすごい。

と、他にもいろいろな展示があり、子供から大人まで愛される親しみやすい博物館といった印象を受けた。気付いたら3時間近く経っていたのには少し驚いたけれど。

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