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スウェーデンでの生活#8 スピリッツの伝統を知る

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先日、ストックホルム近代美術館の一つ東の島にあるSPRITMUSEUM(スピリッツミュージアム)という蒸留酒の博物館に行ってきました。楽しかった…。スピリッツの製法や歴史、北欧の人々にとってお酒がどういった意味を持っているのかといった知識のおいしいところだけをつまみ食いできるという、私にとっては夢のような博物館だった。私と同じようなタイプの方で、もしストックホルムに来ることがあればぜひ訪れてみてほしい。入館料が高めなのが難点だけれど…

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蒸留器 "Bacchus"

まず紹介したいのは、メインの展示 "Sweden: Spirits of a Nation" 。部屋に入った瞬間に重厚な雰囲気をまとった蒸留器のレプリカが目に入る(写真はwebより)。この蒸留器はBacchusという名前で、パンフレットによればここスウェーデンで106年もの間稼働していたものらしい。神話から名付ける辺りに味がある。レプリカは断面が見られるようになっていて、ウォッカとウイスキーの蒸留プロセスを映像でそれぞれ知ることができる。職人技という印象で興味深かった。

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蒸留酒の製造プロセス

製造過程について見ていくコーナーでは、昔作られていた古いデザインのボトルが展示されていたり、スピリッツの香りづけに使われるハーブやスパイス、製造途中のアルコールなどの匂いを実際にかいだりすることができた。こちらでよく見かけるエルダーフラワーから柑橘、ベリー系の果実まで(他にもいろいろあったのだが名前がどうしても覚えられなかった…)、それぞれ違ったタイプの甘い香りがして幸せな気分。アクアビット(フレーバードウォッカだったかもしれない)の製造プロセスの映像もあった。ブラックボード風のポップなテイストで可愛い。

世界のスピリッツ、北欧の伝統

「世界のスピリッツ」という展示はアート寄りの森のような雰囲気で、それぞれのお酒の原材料であるブドウや小麦、サトウキビ、トウモロコシなどを模したボトルが木になっていて楽しい。きれいな赤いガラスでできたリンゴを眺めていたら、カルヴァドスが飲みたくなってきてしまった…。

北欧の人々とスピリッツの関係を扱った展示では、"drinking party" に行くためのキャンピングカーに実際に乗れたり、BGM的な感じで "drinking song" がかかっていたりした。夏至の頃に外で行うスウェーデン版の飲み会といったイメージで、冬の暗さが尋常でない(らしい)こちらでは陽を浴びる意味でも大切にされているんだろうな…と思ったり。階段を上がった先には二日酔いを体験できる部屋なんていうのもあった。

その他

ここまでの話がほぼ全てという感じではあるのだが、他にも2つの展示があったのでそちらも一応。1つは酒好きであればお馴染みのアブソルート・ウォッカを題材にした広告やアートの展示で、ロゴをプリントした服をモデルが着ている写真などもあった。アブソルートがスウェーデンで生産されているものだというのをそもそも知らなかったのだけれど、作品からは生活になくてはならないものと考えられている感じがしてちょっとおもしろかった。もう1つの展示は気候変動や健康と関連して未来の食糧について考える企画で、肉や乳製品の代替原料になりうる昆虫や豆類、ミルク(アーモンドミルクとか)の実物や、バーコードリーダーを使って食品トレーサビリティについて学べるような体験展示もあった。

ちなみにここの博物館にはちょっとしたバーがあり、私が入った時にもテラス席でお酒を楽しんでいるグループがいた。4種類のスウェーデンのお酒のテイスティングなどもできるとのこと。今回の蒸留酒についての展示は本当に楽しかったので、いつか日本の蒸留所にも行ってみたいところ。

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