見出し画像

スウェーデンでの生活#14 王女が愛したケーキの魅力

子供の頃、旅行先のホテルのラウンジでケーキワゴンからプチフールを選ぶのがとても嬉しかった。小さな台の上に数切れずつ用意されたケーキは宝石のようで、どれにしようか迷うひとときはお嬢様にでもなったような気分だった。残念ながらそのサービスはなくなってしまったのだが、目移りしながら決めた「幸せ」を大事に味わって食べる素敵な時間のことは今でも鮮明に覚えている。そんな思い出があったりして、ケーキと聞くとどうしても特別な日にだけ食べるものというイメージがあったのだが、ここはストックホルム。さすがは甘いもの好きが多く暮らしている街といった感じで、お目当てのパティスリーは朝から老若男女でにぎわっていた。

画像1

訪れたのは、中央駅の少し北にあるパティスリー "Vete-Katten" 。その由来は店名を訊かれた際の返答で、「猫は知っている」と「小麦猫」という2つの意味をかけているとのこと。1928年に建てられ、当時としては非常に珍しい女性のみで経営しているお店だったらしい。以前横を通りかかった際、生地が焼き上がるいい香りがしてずっと気になっていたのだが、やっと今回行くことができた。

画像2

待ちきれない思いで列に並ぶ。ガラスケースには色とりどりのケーキの他にも、持ち帰り用の焼き菓子や朝ご飯に人気のサンドイッチなどが並べられていた。どのケーキもおいしそうで悩んだけれど、当初の目的通り伝統的なスウェーデンのケーキ、プリンセスケーキとカプチーノをお願いした。普段はスタンダードに淡い緑でバラをモチーフにした飾りを載せたケーキだが、確かハロウィンの翌日だったのでへたと葉が付いたカボチャ仕様になっていた。葉脈まで再現されていて、すごく凝っている…

画像3

この存在感。甘さ控えめなクリームとふわふわのスポンジをマジパンで包んである。デコレーション用のマジパンは食べたことがあったけれど、こうしてケーキの一部になっているのは少し不思議な気分。外側のマジパン多めの部分はしっかりとした甘さで、内側のとがっている方はスポンジに挟んであるカスタードとラズベリーソースをほのかに感じる繊細な味で癒される。レシピだけでなく、材料もいろいろとこだわって作られているらしい。

画像4

店内は思ったより広く、伝統を感じさせる中世風の造りになっていた。空いていた窓際のソファに座って、朝からゆったりとした時間を過ごす。ケーキとコーヒーで始める優雅な休日、たまにはいかがでしょうか。

ご覧いただきありがとうございます!